Seth Troxler - Evangelion

  • Share
  • Seth TroxlerのようにビッグなDJになると、実際に音楽を作る時間を見つけることが難しくなる。世界中を飛び回るアーティストであるTroxlerの楽曲ストックは当分の間、枯渇しているかのようだったが、昨年、彼は遂に日照り状態を脱した。数か月の間にコラボレーション作を数枚リリースしたことに加え、一気に3つのレーベルをスタートさせたことで、Troxlerは再び創造性を獲得したことをうかがわせた。そしてGuy GerberのレーベルRumorsから発表される今回の「Evangelion」はTroxlerにとって久しぶりのソロ作となる記念すべき作品だ。 "Evangelion"ではHot Creation的な艶やかな感覚、ミニマルの影響を落とし込んだアレンジ、短いサウンドを多用したコラージュなど、様々なアイデアが互いにぶつかり合っていることが分かる。しかしながら、そうしたアイデアは説得力を持つ形で繋がり合っていない。適当に鍵盤を叩いているようなピアノサウンドや大量の話し声を使って、非常におもしろい奇妙な感覚を生み出してはいるが、トラックは平均的な印象からそれほど抜け出せている訳ではない。一方、Mathew JonsonとHeartthrobは原曲から絞り出した楽しい側面を、闊歩するディスコベースラインで補強して素晴らしくねじ曲がったアレンジに仕上げている。エイプリルフールにTroxlerは悪趣味な嘘を付いている。若きEDMプロデューサーMartin Garrixと一緒に写った自撮り画像に「彼とコラボレーションする」とコメントを付けて投稿したのだ。バカげたアイデアとして投稿したのだろうが、"Evangelion"から判断するに、TroxlerはGarrixから若いエネルギーを貰ってもよかったのかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Evangelion B1 Evangelion (Jonson & Siminski Remix)
RA