Senyawa / Charles Cohen - Redose - 3

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  • Charles Cohenの音楽をヴァイナルで購入する楽しみのひとつは、どの回転数で再生するかを考えることだ。レーベルMorphineも特にスピードを指定しておらず、そのテンポやサウンドは従来のジャンルに結び付けられるものでもないため、明確な答えというものが存在しない(筆者の場合、気になって仕方がない時は、オンラインショップのサンプルを聴いて正解を確かめるが、それ以外の時は、聴いてみて気に入った方の回転数を選んでいる)。Cohenが関わった最新作となる「Redose」シリーズの3作目は、Buchlaマエストロである彼がリミックス("Charles Cohen Replay"とクレジットされている)したSenyawaの"Di Kala Sudah"から始まる。インドネシアのプロジェクトであるSenyawaは、カタルシスなドラミング、狂気的なボーカル(なぜなら狂気について表現しているような印象だから)、そして、混沌を中和するアコースティックの甘いメロディが特徴的だ。"Di Kala Sudah"が33回転で再生されるトラックであることに疑いの余地は無い。Rully Shabara Hermanによるブルージーな唸り声と酩酊グルーヴは、45回転では気持ちよく聞こえない。作品には背筋がぞくぞくする素晴らしいヴァイブがあり、Cohenによる卓越した電子音の混沌からは緩く爪弾かれるギターとしわがれた声が立ち上がってくる。 実験音楽のベテランRobert Turmanが手掛けた"Conundrums"は、Cohenを夢の中で思い出しているようなサウンドだ。序盤、彼の特徴とも言えるBuchlaを使った三次元サウンドが前面に打ち出されているが、その暖かみは程無くして挿入されるノイズの破片によって覆い尽くされていく。トラックが展開していくにつれ、音の波が全てを飲み込んでいく様子に心が掻き乱される(きれいな状態の浜辺に、早い波が押し寄せて来ている場面を味わったことがあれば、どんな感覚か分かるはずだ)。確かに"Di Kala Sudah"の唸り声も不吉だが、今回、本当に悪夢なのは"Conundrums"の方だ。
  • Tracklist
      A1 Senyawa - Di Kala Sudah (Charles Cohen Replay) B1 Charles Cohen - Conundrums (Robert Turman Version)
RA