Victoria Kim - Kiko Kicks

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  • ソウルとシドニーの2都市を跨いで活動するVictoria Kimは、グライム、ボールルーム、ジャージークラブを国際色豊かにミックスするプロジェクトだ。さらにDJ/プロデューサーの両面において、2人は隠し味として自らが生み出すダンスビートにKポップの要素を散りばめ、力強くも甘美な混成物を生み出している。昨年、彼らがTruantsに提供したミックス(英語サイト)は記憶に新しいが、このミックスでは彼らが「Kグライム」と呼ぶサウンドが見事に提示されていた。そして今回、2015年の1枚目となる本作で、彼らは新たな動きを見せ始めている。 "Kiko Kicks"はボールルームに取り組んだトラックだ。Victroria Kimは、MikeQなど、このシーンの重要人物たちと共演を果たしているが、"Kiko Kicks"ではボールルーム界のスターDivoli S'vereによる辛辣なボーカルがフィーチャーされている。どうやら、S'vereはこのトラックのインストバージョンを聴いて、すぐさまボーカルとして参加したいと飛び付いたようだ。さらりと跳ねる猫の音、人間の喘ぎ声、そして、ビンテージ感のあるブレイクビーツ上に、2人が生み出す中毒性の高いビートが飛び込むトラックを聴けば、その理由はすぐに理解できるだろう。オーストラリア人プロデューサーAir Max 97は、ボールルームのアグレッシブ性に代えて、清々しく刺激的な最近の彼の作品を彷彿とさせる軽やかなパターンを用いて、"Kiko Kicks"の骨組みを再構築している。 EPを締めくくる"It My Woman (Korean Version)"では、Kポップ・ガールズユニットWonder Girlsのサンプルがブレイクビーツによるしなやかなダンストラックへと生まれ変わっている。ジャージークラブとドラム&ベースを足してちょうど2で割ったようなトラックとなっており、獲物の周りをぐるぐると泳ぐサメの如く不気味なリースベースラインが潜んでいる。非常に荒々しいトラックだが、2人はWonder Girlsの声をチョップアップしてしっかりと聴かせることも忘れていない。シンプルなトラックではあるが、全く異なる2つの要素を巧みに提示する手腕に、Victoria Kimの今後を期待したくなってくる。
  • Tracklist
      01. Kiko Kicks feat. Divoli S'vere 02. Kiko Kicks (Air Max '97 Remix) 03. It My Woman (Korean Version) 04. Kiko Kicks (Instrumental)
RA