- 「KVK900」は全収録時間14分に渡り、威厳を持って私たちに語りかけてくる。「これがハウスミュージックのサウンドなのだ」と。実にシンプルでいて説得力のある主張だ。Aサイドの"House Music"は、元々、Ryan Elliottの傑作ミックス『Panorama Bar 06』に比較的短い断片的なトラックとして収録されていたものだ。今回のフルバージョンでは、トラックを単独で引っ張っていけそうなくらい強力なベースラインとディスコのサンプルが用いられ、全体の密度が高くなっている。ローエンドは重力場のように機能しており、コード、リバーブ、タム、ディーバの嘆きなど、様々な音の破片を引き寄せているかのようだ。あらゆる意味で、壮大なトラックではあるのだが、巧みにコントロールすることで乱暴な空気に成り過ぎないようにしている。
"The Glitch"の核の部分にあるのは、しなやかなテクノミュージックだ。その部分を重々しいドラムで打ち付けながら、同時に、ざらついたアンビエントの反響を流し込むことで、その衝撃を和らげている。Aサイド同様、こちらのトラックも屈強の体に加えて、それに負けない頭脳を持ち合わせている。
TracklistA1 House Music
B1 The Glitch