Binh - Visio

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  • Perlonからレコードを出すということは、おそらくBinhにとって、死ぬまでに達成したいことだっただろう。地元ベルリンで活動する彼は、この数年、この街のミニマルミュージックにおけるキーマンの1人として、自身の居場所を確立してきた。彼は、安定感のあるDJスキルはもちろんのこと、ベルリンにおけるミニマル界のホームとも言うべきClub der Visionäreでのレジデントを務めていることでも知られている。しかしながら、いくらキャリアが成長しても、彼がPerlonのアーティストに昇格することはないと思っていた。それは単に、新しいアーティストがZipとMarkus Nikolaiが手掛けるこのレーベルにいきなり参加することが滅多にないからだ。Villalobos、Melchior、Baby Fordなど、通常は古参のアーティストがPerlonからリリースすることがほとんどで、だからこそ、新しいアーティストがこの中に切り込んでいくことは、途轍もない成果なのである。それほどのことを成し遂げたBinhがレーベルに提供したのは、ミニマルに変化する機能的なトラック2曲。このトラックは共に、Perlonがリリースしてきた良作を彷彿とさせる。 両トラックからは、ダンスフロアで長年過ごしてきた彼の姿が感じられる。まず"Visio"だが、このトラックはパーティーGet Perlonized!の最後にプレイされることを目的に制作されたような印象だ。ダビーかつ躍動するこのトラックは、ピークタイムが過ぎてかなりの時間が経った時にプレイされるのに適している。逆サイドの"Ruski"はというと、本当に若干ではあるが、陽気さと激しさが増している。奇妙なキーボードと這うようなドラムが用いられたこのトラックも、同様に深い時間帯を意識した音楽観となっているが、どことなく"Visio"の暖かな質感の方が魅力的だ。BinhとPerlonにとって「Visio」が実りのある関係の始まりとなって欲しいと思う。ミニマルのトップレーベルも、若い力を活かすことができるかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Visio A2 Ruski
RA