

Villalobosは音楽の統制力と制御不能性をバランスよく操ることで知られるアーティストだが、その彼がこの複雑に入り組んだトラック"Kime Ne"のリミックスをするのは、適切だと思える。スタイルの面で言えば、原曲は、Villalobosが得意とする領域とそれほどかけ離れているわけではない。例えば、少し音程を外してあるボーカルの歌い方は、彼自身の作品でも使われていそうだ。早いテンポの"Version 1"は、最近のVillalobos作品と比べて、それほど劇的に違うわけではないが、まばらに音を使った彼のアレンジによって、トラックにはサイケデリックな性質が与えられている。"Version 2"では、さらに音数が抑えられており、"Version 1"よりも説得力がある。こちらのバージョンでは、Villalobosが良くやるような見せ場的な展開を作ることはせず、原曲の悲嘆な感情に焦点があてられている。どちらのリミックスにおいても、前述した複雑な精神性に対して、非凡な解釈が披露されている。
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掲載日 /
金 / 13 Mar 2015 -
文 /
Jack Murphy -
翻訳 /
Yusaku Shigeyasu -
Tracklist /
A1 Kime Ne
B1 Kime Ne (Ricardo Villalobos Version 1)
C1 Kime Ne (Ricardo Villalobos Version 2)