Melchior Productions Ltd. - Meditations 1-6

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  • もしも、Thomas Melchiorより優れたメロディセンスを持っているハウスプロデューサーがいるなら、是非とも会ってみたい。Mechiorはミニマルハウス/テクノ界で最も記憶に残るトラックを創り上げてきた男だ。そして、そのトラックを特別なものにしているのは、他でもない、メロディだ。しかし、ここで言うメロディとは、ピアノのスタブ音でもなければ、壮大な和音でもなく、多くのアーティストがやっているような一般的なことでもない。Melchiorは、微細なメロディの断片と奇妙なサンプル音を用いて抑制されたユニークなアプローチを取っているのであり、それにより、高度なクオリティが彼の作品に生まれているのだ。彼がPerlonからデビューして10以上が過ぎた。その間、レーベルは、ベルリンを拠点とするアーティストたちによるベスト・ソロワークのほとんどを発表してきた。そして今回、2部構成/6曲入りの「Meditations 1-6」を引っ提げ、Melchiorが3年の月日を経てPerlonに戻って来た。 まずは良い点から語っていこう。ハイライトとなるのは、"Meditation 1"と"Meditation 5"だ(特に明確に抜きん出ているのは後者の方だ)。どんな場所のムードでも軽やかにしてしまうだけの響きが両トラックにはあり、爽やかで広々としていながらキレが良い。そして、シャッフルするドラムと、Melchiorお馴染みの歯切れの良いハイハット、さらに、ループさせたメロディを使ってトラックを仕上げている。彼のベストトラックがそうであるように、両曲も感情に訴えかけてくるメロディをスウィングするビートに組み合わせ、エモーショナルでありながらダンスフロアにも対応する作りになっている。他の収録曲はと言うと、よりツール的だが、訴求力が少ない。"Meditation 4"とMeditation 6"は、ヘビーなボトムでビート主導の効率的なトラックなのだが、"1"や"5"が持っている瞬間の勢いに欠けている。さらにドライな印象なのが、"2"と"3"だ。ここまで上手くいっていないトラックは、PerlonとMelchiorにしては珍しい。しかし、至るところでキラリと輝く瞬間があり、本作を価値ある一枚に仕立てている。
  • Tracklist
      01. Meditation 1 02. Meditation 2 03. Meditation 3 04. Meditation 4 05. Meditation 5 06. Meditation 6
RA