- この2年間、スウェーデンのプロデューサーAcronymは自身のレーベルDimensional Explorationと並行して、Northern Electronics、Tresor、Field Records、Clan Destineといったリスペクトされているテクノレーベルからもリリースを重ねてきた。そして2014年の暮れには、彼はSvrecaのレーベルSemanticaと組み「Yggdrasil」を発表することとなった。今回のEPには彼のいつものスタイルであるディープかつパーカッシブなテクノを4つのバリエーションで展開した楽曲が収められている。
本作では彼の作風に大きな変化は無く、むしろ、収録曲（タイトルは北欧神話を言及している）は王道的な印象があり、DJユースに特化した無骨な4つ打ちトラックとなっている。幕を開ける"Yggdrasil"は毛羽立ったベースラインがぐいぐいと滑り込み、威嚇的なサウンド上を展開していく。一方、"Jotunheim"と"Nifelheim"では音数が抑えられたことで生まれる大きな空間をAcronymならではの濃霧が埋め尽くしている。前者は全体的に穏やかに揺らぎながらシンコペートする中域のリズムを活用し、後者は躍動するドラムと緊張感のあるドローンを重ね合わせ、熱狂的なバイブスへと向かっている。そして8分以上に及ぶ"Mimers Brunn"は、激昂のローエンド、発信音のようなメロディ、そして低調ではあるが効果的なブレイクが詰め込まれた疾走感のあるトラックとなっている。今回のAcronymのEPもしっかりと構成された1枚だ。
TracklistA1 Yggdrasil
A2 Jotunheim
B1 Nifelheim
B2 Mimers Brunn