R406 - Chiba boy #1

  • Share
  • テクノやハウスというクラブ・ミュージックにおいて、日本におけるデトロイトへの羨望は今尚強い。DJとして長い経験のあるYonenegaとZarigani.Rec名義でも活動しているChick Tack Coreaが新たに結成したユニット・R406も、Derrick Mayを筆頭にデトロイト・テクノに強く影響を受けている。ちなみに作品のタイトルにもなっているChiba BoyはDerrickがYonenagaを呼ぶ時の愛称でもあるそうだが、そのDerrickは既に本盤に収録された曲をプレイしているそうでその才能に期待をしているのだろう。 何といっても魅了されるのは"To Overseas"で間違いなく、"Sueno Latino"から拝借したような鳥の鳴き声が郷愁を打ち出しつつ、乾いたタムによるアフリカンなパーカッションと重厚なシンセがレイヤーとなって押し寄せる展開は、千葉からデトロイトへの回答とも思わずにはいられない。テクノの流れとしてミックスされる事は当然として、アフロなリズム感や叙情の強いメロディーのおかげでハウス・セットに混ぜても違和感はなく、特に一瞬で耳を惹き付けるような存在感はパーティーにおけるピークタイムにもうってつけだ。また鋭利なリズムが跳ね回るような"Walking"は、そこに脈打つファンキーなベースラインとふわっとしたアトモスフェリックなサウンドが伸びて、タイトル通りに羽を伸ばして闊歩するような軽快なグルーヴが心地良い。滑らかな4つ打ちとうっとりと陶酔するようなサウンドで展開するディープ・ハウス寄りな"Deep Sleep"では、艶やかなボイスサンプルも影響して前述の2曲とは異なる色気さえも発している。初のヴァイナルにしてデトロイトの叙情性を咀嚼し昇華させた見事な作品だが、後はそこにどれだけR406の個性を含ませる事が出来るか、今後の動向に目が離せない。
  • Tracklist
      A1 To overseas B1 Walking B2 Deep sleep
RA