Takuya Matsumoto - EKR's Galactic Dance

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  • 奇妙な12インチを数年に1度のペースで発表してきたTakuya Matsumotoは、これまで何となく趣味で音楽活動をしている印象だった。しかし、最近ではその印象は変化している。彼にとって3枚目のEP「EKR's Galactic Dance」は、2013年にR&Sのサブ・レーベルMeda Furyからのリリース以来の作品となる。リリース量が増えている昨今において、数多の音楽とは一線を画すMatsumotoのクオリティ、特に彼の素晴らしく確立されたメロディ・センスは依然として変わらぬままだ。 彼のクオリティは本作のタイトル・トラックで明らかとなっている。このトラックでは普段のハウス・トラックよりも数倍の数の和音が用いられており、綺麗な弧を描きながら、様々なシンセ・パッチ上へと摘まれていく。ドラムがバラバラに崩れ去った後、じわじわと再構築されていくことで生まれる"Part 2"の効果は特に彼の特性を象徴しているだろう。他のトラックではMatsumotoは焦点がぼやけており、繊細で美しくはあるのだが、目的が無い印象になっている。"The Sun On The Refugees"では心地の良い音色の代わりにPhilip Glass風のガチガチに組まれたピアノ・ループが用いられている一方、EPを締めくくる"Satellite Orbit Funk"でのジューシーな旋律としなやかなシャッフルは"Vacuum Boogie"の頃のFloating Pointsを思い起こさせる。良くも悪くも2人の繋がりは今に始まったことではない。Floating PointsはMatsumotoのキャリアにおける最重要作"Jump Rope Music"を何年も熱狂的に支持しているのだ。彼と同じく目のくらむような高みに今回のMatsumotoが達しているとは言えないかもしれない。しかし、その場所は決して遠くはないはずだ。
  • Tracklist
      A1 EKR's Galactic Dance Part 1 A2 EKR's Galactic Dance Part 2 B1 The Sun On The Refugees B2 Satellite Orbit Funk
RA