Iori Wakasa - Rainman EP

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  • 2014年にはLeavesというパーティーを立ち上げ、またDJとしても多くのパーティーに出演し活動の場を広げるなど、若手アーティストの中でもIori Wakasaの躍進は目立っていた。またDJとしてだけでなくアーティストとしてもSatoshi TomiieやBen Hooとの共同制作や多数のアーティストにリミックスを提供するなど、トラックメーカーとしても素晴らしい結果を残し、獅子奮迅の勢いでその音楽活動を広げている。 そんな年の瀬になって届けられたのが、Iori Wakasaの新作である。リリース毎に異なるスタイルを披露しその柔軟な音楽性には目を見張るものがあるが、"Rainman"は特に今までの作品の中でも最も装飾的な美しさを放つ繊細なテック・ハウスだ。湿ったキックがしとやかに4つ打ちを刻むと同時にメランコリーなシンセが反復する中を、幻想的なパッドが薄く伸びながら浮かび上がってきて、そして遂には様々なサウンドが複合的なメロディーをなぞりながらピークへと上昇するドラマティックな展開を含んでいる。一方で"Take U Antarctica"では対照的にミックスされる事でその機能が発揮されるような、図太いキックと膨れ上がった重低音がリードするミニマルな構成だが、その中にボイスサンプルも配置され黒くファンキーな空気も醸し出す。 また、リミックスの方にも注目すべきだろう。若手ながらも国内外で活躍するYOSAのリミックスは、アーティストの個性が打ち出されており興味深い。原曲よりも肉厚なキックが刻まれる"Rainman (Yosa Remix)"は、ファンキーなベースラインや弾けるようなリズムのおかげで意気揚々とした曲となっており、YOSAのポジティブな音楽観が表現されている。そしてベルリンの二人組であるNeverm!ndがリミックスした"Take U Antarctica (Neverm!Nd Remix)"は、独自にピアノのコードを入れるなどしてミニマルな構成に妖艶な色気を加え、彼等らしいモダンなミニマル・ハウスとして生まれ変わった。それぞれのリミックスが原曲の姿を残しながらもリミキサーのカラーで塗り替えられ、新たなる魅力を放っているのだ。
  • Tracklist
      A1 Rainman A2 Take U Antarctica B1 Rainman (Yosa Remix) B2 Take U Antarctica (Neverm!Nd Remix)
RA