Novation - Launch Control XL

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  • Novationによる独創性に富んだAbleton Live専用グリッドコントローラー、初代Launchpadが発売されてから随分と長い時間が経過したように思える。2009年の発売以来、この控えめな大きさのこの機材は、数々のアーティストたちのライブ用/スタジオ用セットアップに組み込まれ、またMadeonなど、この機材をきっかけにシーンでバイラルとなり、人気を獲得したアーティストもいる。その素晴らしい成功があったにも関わらず、Novationは4年間という長期間に渡り、Launchシリーズを拡大してこなかったのだが、昨年から新しいシリーズの投入をスタートさせ、最終的にLaunchシリーズのラインアップを8種類まで増やした。そして今回紹介するのがその最新版で、Ableton Liveと連携できるミキサー型のMIDIコントローラーLaunch Control XLだ。 Launch Control XLは初代のデザインをベースに改良されたもので、サイズはLaunchPad S(239 x 239 x 22 mm)と同じだ。Novation側はLaunch Control XLとLaunchPad Sを組み合わせれば、Ableton Liveのコントロールを新たな次元へ導くことができるとしている。しかし、Novation側のLiveとのインテグレーションの方法、つまり、付属するLive用のスクリプトが原因で、Launch Control XLはLive 9.1.3以降しかサポートしていない。旧バージョンのLiveを使用している場合は、このダイナミックなインテグレーションの恩恵を享受できないというのは明らかなマイナス点だ(通常のMIDIコントローラーのようなマッピングは可能)。しかし、悪い話だけではなく、Liveの現行バージョンのインストールは非常に簡単だ。実際、筆者がLaunch Control XLを接続するとAbleton側で自動的に認識・設定が行われた。 NovationのLive用インテグレーションは非常に分かりやすい。3列に並んでいるノブと8本の60 mmフェーダーは自動的にLiveのミキサーにマッピングされる。3列中、上の2列はミキサーセンドにマッピングされ、右側のSend Selectボタンを使えば、2種類以上のセンドをコントロールが可能になる。3列目はデフォルトではパンニングに設定されており、また、既に予想している人もいると思うが、その下のフェーダーはLiveのヴォリュームフェーダーに設定されている。そのフェーダーの下には配置されている2列のボタンについては、1列目の機能はTrack Focusに限定されているが、2列目のTrack Controlは右側の3個のボタンで切り替えによって3種類のモードに変化し、各トラックのミュート・ソロ・アームが行えるようになっている。尚、マルチカラーLEDになっているので、各ボタンがどのモードになっているのかが視認しやすくなっている(ミュートはイエロー、ソロはグリーン、レッドはアーム)。 予想していた人もいるだろうが、Launch Control XLは当然ながらLiveの最初の8トラックだけをコントロールする訳ではない。Track Selectボタンを使用すれば、Launchpadでセッションビューをスクロールするのと同様に、Liveのミキサーチャンネルをスクロールできる。現在のセットで使用できる最後のチャンネルに到達すればコントローラー上のLEDが点灯するが、実際に何がコントロールされているのかという情報は、Liveのスクリーン最下部のステータスバーの中に小さな文字で表示されるだけだ。クリップのナビゲーションの情報用ボックスが、Launch Control XL側にも用意されていても良かっただろう。実際、筆者が大きいサイズのセットをミックスした際は、数度に渡り作業を見失ってしまった。ただし、公平のために言うと、これはNovationのデザインの問題というよりは、Ableton側の機能の限界のように思われる。 もしLaunch Control XLがミキサー機能だけの機材として発売されても、機能的(多少退屈ではあるが)な機材としての魅力は失われないはずだが、有り難いことに、NovationはLaunch Control XLにDeviceボタンを組み込んでおり、これを押せばデバイスコントロールへと切り替わる。ボタンを押すと、3列目のノブがパンニングからデバイスのパラメーターコントロールに切り替わり、下部のLEDがレッドからグリーンに切り替わる。デフォルトではLive上で選択しているトラックに挿入されている最初のデバイスの最初の8つのパラメーターがマッピングされる。XL上でのトラックの選択方法については既に説明したが、Deviceボタンを押しながらTrack Selectボタンを押せば、同一トラック内のデバイスの選択が可能になる。また、選択されたデバイスのパラメーターが8種類以上備わっている場合は、再びDeviceボタンを押しながらTrack Controlボタンを押せば、選択中のパラメーターのバンクの切り替えが行える。バンクの切り替え時に、どのパラメーターなのかがステータスバー上に表示されるのは便利で、多くのLiveのデバイスでバンクがこのように綺麗に整理されているのは嬉しい驚きだった。例えばOperatorでは、オシレーター、フィルター、フィルターエンベロープなどがそれぞれバンクとしてまとめられている。 Launch Control XLは全体的には、Abletonを基本にしたスタジオセットアップを組んでいる人にとって信頼できる新たな機材となるだろう。しかし、ライブパフォーマンスではどうだろうか? Launch Control XLをライブパフォーマンスで使用するならば、筆者としては3列のノブをデフォルトのセンドとパンニングではなく、EQやフィルターにアサインしたい。それを行うにはLaunch Controlのカスタムテンプレート機能を使用することになるが、これは8チャンネル以上のセットをナビゲートできるというスクリプトの威力を犠牲にしてしまう。しかし、 MultimapperのようなMax For Liveデバイスなどと上手く組み合わせて、XLのデバイスコントロールノブをワンノブフィルターに変更できる可能性も考えられる。いずれにせよ、Novationの今回のまとめ方には満足した。Launch Control XLは手頃な価格でありながら筐体も非常に頑丈で、Launchpadと組み合わせて使用すれば、便利なコントロールを数多く提供してくれるだろう。 Ratings: Cost: 4/5 Build: 5/5 Versatility: 3.5/5 Ease of use: 5/5
RA