Lukid - Crawlers

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  • LukidことLuke Blairの音楽はメロディによって制御され奇妙なディストーションによって埋め尽くされており、アルバム・フォーマットに快適に収まるものだが、彼の面白い作品は12インチ・シングルに現れることが多く、ダンス・フロアを起源としていながら不鮮明で奇妙なサウンドを持つという緊張感がより肉薄して感じられる。「Crawlers」は2012年の『Lonely At The Top』(英語サイト)の続編というよりも2010~2011年にかけてGlumから発表したシングルに続くものとして捉えられるだろう。なぜなら本作では最もタイトでダイレクトなLukidのサウンドを聞くことが出来るからだ。"Nine"がバンギンなポテンシャルを持っていることは特に明らかだ。それはEvian Christが最新トラック"Propeller"でパニックに陥ったようなシンセをサンプリングしていたことによっても証明されている。このサンプリングによって"Propeller"では巨大なヒップホップに花が添えられていたが、本作の場合だとリズムの枠組みは一定の場所に留まることがなく、そしてもちろん、どっぷりとダーティーになっている。 Blairは自らの新たなサウンドを「デカイ」と形容しているが(英語サイト)この結果を見ればそれは明らかだ。しかし、それ以外にも陽気なトラック"The Brick Burner"では、奇妙なまでに忠実性を重んじるBlairのテイストがヒューと吹き抜ける高域と、枕のように柔らかく包み込む力を持った低域となって表れており、トラックの巨大さが一種の風通しの良さによって中和されている。他のトラックではこの柔らかい傾向の方が優勢になっている。"La Cucaracha"のリズミカルなループは、ビットレートの低いMP3作品のようなギスギスしたサウンドよりもさらにドラムとして認識されることはないだろう。一方で軽快にシンコペートする"Born In Bosnia"は昆虫型UKファンキーといったところだろうか。思わしげなシンセがムードを少ししっとりとさせている。「Crawlers」ではBlairの悲しいまでの適合性が見事に確立されており、勢いに乗っている場面の方が際立っている。
  • Tracklist
      A1 Nine A2 La Cucaracha B1 The Brick Burner B2 Born In Bosnia
RA