Fis - Speech Spirits

  • Published
    Oct 22, 2014
  • Words
    Resident Advisor
  • Label
    XX0LPY
  • Released
    September 2014
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  • 厳密にはストレートなトラックを作り始めたわけではないが、Fisはリリースの度にドラム&ベースから離れてグリッドの無い領域を目指してきた。昨年、Tri Angleから発表した「Preparations」と「Iterations」(英語サイト)では遂に自身の殻を打ち破ったことを示唆していたが、小節が消滅すると同時にいくつかの個性もまた消え去っていた。つまり、どちらのEPも時折ダークで形の無いスタイルへと滑りこんでいき、中途半端に視聴して忘れてしまいがちなものになっていたのだ。この2つのEPのベストな点は、"Her Third Eye (Drum Rain)"での包み込んでいく混沌と、"CE Visions"での轟くハンマー音とクリック音だが、それは限界点を超えるためには柔らかなタッチが必要であることを意味していた。 「Speech Spirits」はこのテンションを完璧に成し遂げている。若干ドラム&ベースの雰囲気があるが、それはあからさまではない方法、すなわち、ちょっとしたジャングリストなベースや予想外のスウィング感から生まれている。タイトル・トラック"Speech Spirits"はT++からの影響をうかがわせる。木材系パーカッションと鋭く速度を落とす轟音が一方向に回転していく中、重低音によるジャブが逆方向に向かって打ちつけられる。"Knecht"では少し速度は落ちているものの暴力的な磁力は一切無くなっていない。さらなるサウンドが素早く通り過ぎながら定位置へと下降していくにつれ、ドラムが波打ちながら脇へと打ちつけられる。両トラック共に強烈に印象に残る内容でありながら、残忍なまでに簡潔にまとまっている。 Kassem Mosseは"Speech Sprits"のリミックスにて従来通りの「機械に任せて俺は少しだけ調整する」アプローチを取っている。Fisに比べ彼のリズムはよりタイトにループしており、おどけたメロディを加えることで新しく親近感のある輝きを与えている。Oren Ambarchiはオリジナルを14分近い長編作へと引き延ばし、危機感を感じさせるギター上にドラムをアレンジしていく中、暗雲が立ち込めていき、クライマックスが無くとも緊張感を構築するFisの能力を反映させている。
  • Tracklist
      A1 Speech Spirits A2 Knecht B1 Speech Spirits (Kassem Mosse'd) B2 Speech Spirits (The Nagger by Oren Ambarchi)
RA