Portable - Sportable

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  • Alan Abrahamsが自身の衝動に従う方法は賞賛に値する。そしてその衝動は一般的なものと異なっていることが多い。ハウスやテクノの方法論にしっかりと根付いていながら、彼は全く異なるサウンド、つまり、シンセ・ポップも取り入れ続けている。彼はDJをしない。そして、クラブでのパフォーマンス時の彼はワンマン・バンドのようだ。煌びやかなステージ衣装を纏いながら躍り、年季の入った銀のマイクに向かって甘美に声で歌い上げるのだ。キャッチーな"Find Me"のようなボーカル・ナンバーであろうと、2010年の"Life Magically Is"(英語サイト)のような威力抜群のクラブ・トラックであろうと、光輝く個性によって彼のトラックは際立っている。彼の最新EP「Sportable」の背後にいるベルリンのレーベル、Perlonの音楽観に彼が自然にフィットしているのは、この従来とは異なる資質によるものだ。 「Sportable」の各トラックでは、Abrahamsが持つ才能の異なる一面が披露されている。"Continue"はニュー・ウェーブを思わせるが、時代逆行感は一切無い。ゲート・リバーブの効いたクラップで仕上げた艶やかなビートが、Abrahamsのディープでメロドラマなボーカルのためにステージをセットし、「始めよう / そして続けよう / あなたの中にある / 命を解き放って」と歌われている。”Medelin"では同じプロダクション・スタイルがより単純明快なクラブ・トラック上で用いられており、ピッチが下降していくベースラインと少量のSFサウンドが備えられている。"Behind"はAbrahams御用達のフルート奏者、L_cioをフィーチャーした素敵なダウンテンポ風トラックだ。このトラックではPortableの全速力に近いものを見ることが出来る。グリッチーなブリープ音とMatomosスタイルのサウンドが豊かなピアノ・コードとL_cioのフルートと中和しあう中、Abrahamsが優しく「難なく私は / こんなものを置いていく」と囁いている。プロダクションとソングライティング、オーガニックなサウンドとエレクトロニックなサウンド。この間にあるバランス、それがPortableのサウンドの全てだ。そして、この作品ほど見事にバランスを取る彼はなかなかお目にかかることは無い。
  • Tracklist
      A1 Medellin A2 Behind feat. L_cio B1 Continue B2 Continue (A Capella)
RA