Leaves feat. Delano Smith

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  • Baastard、Highgradeといった海外レーベルからのヴァイナルリリースや、ハウス界の巨人Satoshi Tomiieとの共作など、近年の日本人アーティストの中でもアクティブかつ独特な立ち位置で活動するIori Wakasa。DJとしても豊富な経験値を持つ彼が、表参道のクラブORIGAMIにてLeavesというパーティーを始動した。デトロイトハウスのベテランRick Wadeと、日本人テクノDJ CMTを招致し成功をおさめた1回目に続き、デトロイトクラブシーンのパイオニアの一人Delano Smithと、東京からCABARETを主催するdj masdaをゲストに迎えて開催された。 オープンからはDaytonaクルーとして都内を中心に活動するkamekawaが担当。現場経験に裏打ちされた、ローとウワモノのバランス感が光るウォーミングアップセットを披露した。近日に初のヴァイナルリリースを控えるYou Forgotは一転して動のDJ。カットアップ的に曲を展開する潔くファンキーなプレイスタイルでさらにフロアを鼓舞していた。Iori Wakasaは、疾走するグルーヴはそのままに、よりディープな感覚を付与していくよう。夜が深まっていくにつれ人が集まってくるフロアのテンションをキープしつつ引き上げていく。主催として確かな力量を発揮していた。通路が混み合うほどの熱気に包まれると、満を持してDelano Smithが登場。あくまで今のシーンの感覚を保ちつつ、他にはない安定感と高揚感だ。一定のラインをキープし、その中でスムースを極めるような展開が印象的であった。この日のプレイには彼のプロフィールから想像できるような「デトロイトクラシック」的な要素はほぼなく、彼が80年代から培ってきたDJとしての力と、近年の作風からも伺える現行のシーンを牽引するセンスが感じられた。とはいえ、常に新たなスタイルを追求する姿勢と独特のドライヴ感は、本来のデトロイト・スピリットを体現していると言えるかもしれない。クローズまでを担当したdj masdaは、流れを受け継ぎつつもBlack Ice Productions “Men on drum”のようなパーカッシブなディープハウスで重心低めに軌道修正。彼自身の世界観を保ちつつも、グルーヴィーな側面を全面に出した貴重なセットを披露し、フロアのテンションを崩すことなくロングプレイを完遂した。終盤にかかったTheo Parrish “Solitary Flight”も熱気覚めやらぬ観衆の心を揺さぶり、多幸感にあふれたムードでパーティーは幕を閉じた。 トレンドの発信地である表参道に昨年オープンしたORIGAMIは、ヨーロッパを中心とした最新鋭のテクノ/ハウスシーンからゲストを招致しつつ、VIPルームや村上隆のアート作品が飾られたラウンジも備え、アンダーグラウンドかつどこかハイソサエティな「クラブらしさ」を両立。都内の多くのクラブの中でも独自のスタンスを確立している。また、INFINITEのサウンドシステムを搭載したアジア初のクラブとしても知られる。この日の音響はシステムのパワフルさがうまく調整され、バランスのとれた出音で長く楽しむことができた。Iori WakasaとLeavesクルー、そしてORIGAMIのスタッフによって、「良いパーティー」に必要なオーディエンス、サウンド、ムードが不可分なく揃えられた、新たなシーンの萌芽を感じる一夜であった。 Photo credit: Ran Iwasawa
RA