Various - Worth The Weight Vol. 2

  • Published
    Sep 25, 2014
  • Words
    Resident Advisor
  • Label
    DRUNKCD006
  • Released
    September 2014
  • Genres
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  • Punch Drunkの2枚目となるコンピレーションは、2世代に渡るダブステップ・ディアスポラを映し出している。その結果、(シーンに起こったことを考えれば、おそらく必然だが)今回のコンピレーションは、1枚目のコンピレーション『Worth The Weight』(英語サイト)よりも一貫性が無くなっている。たとえ収録曲が素晴らしい形式的な広がりを見せていることを考慮したとしてもだ。本作のサブタイトル"From The Edge"も、その広がりを仄めかしている。イギリスのダンス・ミュージックにおける脱部族化なるものについて、先日、Pinchが語っていたが、おそらく、今回のリリースには、その証明となるものが多く詰まっている。 本作ではあちこちで新たな影響が噴き出している。Andy Macによる"Asteroid Belts"を例に挙げよう。基本的にはピュアなハウス・ミュージックで、そこに低域を少し追加していて面白いのだが、Pinchの"Qawwali"やPeverelistの"The Grind"のようなものに比べると、特定の場所と時代を指し示すものとしては強度が少ない。もちろん、それ自体は問題ではない。物事が変異と勾配を繰り返す在り方について、このトラックは何かを語っているのだ。 しかし、共通の特徴を見い出すことも可能だ。ZhouとKahnは、PinchやAppleblimといったアーティストが歩んだ道を、さらに発展させており、2人はそれぞれダークで隙間を十分にとった骨格ビートを提供している。Kahnの"Helter Skelter"に至っては色彩豊かな衝撃をこの音楽形式にもたらしている。2つのコンピレーションにおいて最も分かりやすいつながりは、Kowtonによる"Roll With The Punches"のリミックスだ。しかしながら、これが少し失敗に終わっている。おそらくそれは、Pev & Kowtonのコラボレーションがこの数年、非常にエキサイティング過ぎたからだろう。オリジナル・バージョンでの主旋律から最初の3音を延々とループさせ、その下では、従来通りの無愛想なドラムが坦々と揺れ動いている。"Roll With The Punches"のように多くの人から愛されている曲に、新たな側面を持ち込むのは常に困難が伴う。Kowtonのバージョンからは、PeverelistとKowtonのタッチが感じられるのだが、両者のスピリットが欠けてしまっており、控え過ぎた印象が生まれている。 今回は、よりストレートでスムーズなビートが、多くのトラックを支えている。Bass ClefとEkoplekzが提供したトラックのロウな感覚は大歓迎だ。彼らにとっては、テクスチャーが最も大事な点であるようだ。この視点があるからこそ、2人のトラックは1分半にせよ、12分にせよ、残りのトラックより突出しているのだ。特にBass Clefのオリジナル、およびPevによるリミックスは、自意識過剰なジャンル開拓という、しばしば陥ってしまいがちな症状に対して、良い薬を準備しているかのように感じられる。"A Rail Is A Road And A Road Is A River"は、アルバム『Relling Skullways』に収録されていた音数を抑えた傑作だ。12分間に渡って、このトラックは何かしらの小宇宙を繰り広げているというわけではないが、"From The Edge"という言葉を具現化したもののような感覚がある。そわそわするがどっしりとしており、実験的だが暖かく歓迎している感覚があるのだ。 『Worth The Weight Vol. 2』を最初から最後まで聞いていると、Pevの多用なテイストとブリストルという街の背後にある共通項が失われているように感じる。本作は、コレクティブによる意思表明というよりも、ダブステップが分解されていく中、あるグループが何をしていたのか、ということを切り取ったものに近い。そのため『Worth The Weight』が、もう1つのダブステップの重力点を包括的に見返したものだったのに対し、『Vol 2』は、そうした直接的な支点が失われている。中心がなければ、我々は皆エッジにいることになるだろう。
  • Tracklist
      01. Hodge - Resolve 02. Tessela - Channel 03. Kahn - Helter Skelter 04. Andy Mac - Asteroid Belts 05. Peverelist - Roll With The Punches (Kowton Linear Mix) 06. Zhou - I Remain 07. Kahn - Tehran 08. Zhou - Locust Dub 09. Bass Clef - Stenaline Metranil Solar Flare (Peverelist Remix) 10. Ekoplekz - On Vanishing Land (Intro) 11. Pev & Hodge - Bells (Dream Sequence) 12. Bass Clef - A Rail Is A Road And A Road Is A River
RA