SPS - Sintomi Di Gravità

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  • イタリア人の兄弟、John SwingとEMGは新たにレーベルを始めるのが大好きだ。この5年間で、LiveJam Records、LiveJam Limited、そして友人のThe Analogue Copsと共に手がけるAppintmentなど、彼らは多くのマイナー・レーベルを運営してきている。彼らをフォローしてきている人にとっては、タイトルに現れている素直な意思表明は驚くことではないだろう。John SwingとDMGの作品のほとんどは(特にSwingの場合は)埃っぽく激しく打ちつけるハウスだが、常に実験的な性格も持ち合わせている。彼らによるハウス・ジャム・セッションはシュールな内容であることが多く、EMGに至ってはExperimental Learningを通じて、美しくパッケージされた難解な4枚のEPをリリースしており、枠組を完全に飛び越えているし、「Sintomi Di Gravità」(重力の徴候、という意)では、これまでで最も実験的なものが収められている。 SPSは、EMG、John Swing、そしてベルリンを拠点とするアーティストで昨年、彼らのレーベルの1つであるWarm Soundsから作品を出したBattistaによるユニットだ。 「Sintomi Di Gravità」は、このユニットにとって初となるリリースで、収録された長尺トラック2つは、即興による作品だと思われる。(ライブ・パフォーマンスはSwingとEMGの活動にとって中心となっているものだ) かなり変わった作風の"Inconseio Mix"は、3 Charisにイギリス的な捻りを加えたような、のっそりと足取りを進めるビートを伴ったトラックだ。14分に及ぶトラック上で、拡張と収縮、ヒートアップとクールダウンを繰り返し、奇妙ながらも主張の強いグルーヴに、唯一、一貫した様相を生み出している。 より繊細なトラックとなっているのが"Conscio Mix"だ。Bサイドで聞くことの出来た周期的な変化を繰り返すギターを、ローパス・フィルターで覆い尽くし、スロー・モーションなリズムに組み合わせている。そこへキックが入ってくると、BPM116のハウス・ビートとして正体を現す。Bサイドと同様、トラックは暖かく埃っぽい空間の中を進んでいき、混沌とすることなく、気持ちいいファンクネスを帯びている。Bサイドでは装飾として使われていた捻じ曲げられたボーカルが、ここではトラックの中心に位置しているが、ビートがヘビーでジャッキンになっているのは、彼らが得意とする鋭いハイハット使いのためだろう。このサウンドをレフトフィールドなハウスと呼ぶことが出来るかもしれないが、それは完全に正しいとは言えない。彼らは自分たちだけのものと言えるスタイルを持っており、そのスタイルは常に素晴らしくなっているからだ。
  • Tracklist
      A1 Sintomi Di Gravità (Conscio Mix) B1 Sintomi Di Gravità (Inconseio Mix)
RA