No Milk - Re:Colors 2014

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  • 近年注目を集めるRondenion主宰のRagrange Recordsは、和製の特に黒いハウス・ミュージックを世界に向けて発信しているが、新作だけでなく埋もれてしまった名作の復刻にも力を入れている。本作は90年代半ばから活動しているYusuke UchiyamaことNo Milkが、2000年にリリースした「Nobody Knows It But You」に収録された楽曲を、STEREOCiTI、Kez YM、Rondenion、そしてNo Milk自身がリミックスし直した作品だ。 ここで先ず気付くのはNo MilkとSTEREOCiTIはかつて彼らが主宰していたデトロイト・ハウス・スタイルのパーティーであるBetter Days繋がりであり、そこにはKez YMもDJとして参加し、またRondenionとKez YMとNo MilkはRondenion's Ragrange Symphonyと言うユニットを組むなど、つまりこの作品はこよなくブラック・ミュージックを愛するコミュニティーの思いが結実した結果なのだ。 元々どのトラックも原曲からして荒々しい黒さと野太いリズム感を持ち合わせたハウス・ミュージックではあったものの、更に互いを理解しているであろう仲間がリミックスしたのだから、その相乗効果は期待通りの方向へと働いている。ざっくりと野性的なビートダウンへ作り変えながらファンキーなボイスサンプルも交えた"Colors (Kez YM Remix)"、2014年バージョンらしくすっきりと綺麗な音で優美さも加わった"Nobody Knows It But You (No Milk 2014 Remix)"からして、濃密なブラックネスが溢れている。またKez YMのリミックスとは対照的に原曲から音を削ぎ落としながら疾走するビート感を打ち出した"Colors (STEREOCiTI Remix)"、ヒップ・ホップ調だった原曲の雰囲気を壊さずに仄かに芳しい情緒を込めた"Relationship (Rondenion Remix)"、各々が個性を打ち出しNo Milkの作品を現代へと蘇らせている。過去の名作の復刻作業がありふれた現在において、単なる復刻ではなく現在形のアーティストによって新しい息吹を吹き込まれたこの復刻は、懐古的な意味合いではなく各々が向かう先を指し示す作品としても意味があるだろう。
  • Tracklist
      A1 Colors (Kez Ym Remix) A2 Nobody Knows It But You (No Milk Remix) B1 Colors (Stereociti Remix) B2 Relationship (Rondenion Remix)
RA