Bronze Teeth - O Unilateralis

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  • Factory Floorのメンバーとして、モジュラー・シンセを担当するDominic Butlerと、L/F/D/M名義にてOptimo Music傘下のレーベルから2013年にデビューしたRichard SmithによるプロジェクトBronze Teeth。PowellとJaime Williamsが手がけるロンドンのレーベルDiagonalから2枚のEPをリリースすることが発表されている(英語サイト)が、本作はその1枚目にあたる。90年代にButlerとSmithはアート・スクールで出会い、音楽に対する共通の好みを通じて意気投合して以来の仲であり、卒業後、Butlerは修士コースに進み、その後、Factory Floorとして活動を始めているのだが、その間も、引き続き2人は連絡を取り合い、ButlerはSmithに対し、プロダクション・スキルを磨くように発破をかけていたようだ。 そして遂に結成されたのがBronze Teethというわけだが、Factory Floor同様、トラックに対するアイデアに基づいて繰り広げられるインプロヴィゼーションを長時間ライブ録音し、そこへ編集を施すことで精度を高めていくという手法が取られている。特に"Tapeworm"と"Acetone"では、この点が顕著に表れており、シンセ・リフをメインに徐々に表情を変えていく展開には、深い時間におけるフロアを時間感覚の歪んだ領域へと引きずり込むことを期待できそうだ。ドラム・マシンの代わりに鋭く配置されたノイズの断片が特徴的な"Glass Tooth"では、タムのようなサウンドが中低域で徐々に挿入されてくることで、静かに高揚感を煽っている。Butlerが重要視するライブ・インプロヴィゼーションにおいて、予想していなかった変化に反応することによって生まれる咄嗟のダイナミズムが、本作における高濃度の緊張感を生み出しているのだろう。
  • Tracklist
      A1 Tapeworm B1 Acetone B2 Glass Tooth
RA