Röyksopp & Robyn - Do It Again

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  • RobynとRöyksoppは、自身たちのことを単なるコラボレーションではなく、バンドだと思ってほしいようだ。"The Girl And The Robot"や"None Of Dem"のように、これまでにも彼らは制作を共にしてきているが、今回のパートナーシップは、必要性の中から生まれたもので、その重要性が増しているようだ。『Body Talk』のツアーから帰ってきたRobynは、精神面でも、芸術面でも消耗しきっており、インスピレーションを得たいという希望のもと、Röyksoppのホームタウンであるノルウェーのベルゲンに引っ越している。そして、絆、友情、ワイルドなパーティー・ライフを通じて、Röyksoppの2人とRobynは、その希望を叶えたようだ。その結果生まれた5曲入りのEP『Do It Again』は、フェスティバル仕様のエレクトロ・ハウスが織り成すサウンドのプリズムを通じて、快楽主義や愛だけでなく、焦燥感をも芸術的に追い求めている。 タイトル・トラックでありメインともなっている"Do It Again"は、繰り返されるシンセと叩きつけられるドラムが詰まった脳天直撃アンセムだ。さらに、これでもかと付け加えられる心臓が飛び出しそうになるほどのブレイクに、純粋に嬉しくなってくる。Robynの歌詞は痛ましいほど簡潔にまとめ上げられているが、「It hurts so good / 心地よく痛む"や"Wait for the build-up / 褒めてくれるのを待ってるの」といったお約束な歌詞の中に隠れている深みは、実存主義的な痛みを孕んでいる。ある角度から見ると、面白いほど単純明快なクラブ・トラックだが、注意深く聞いてみると「And when we come down / We just do it again / 効き目が切れたら、またやろう」という歌詞があり、悪習慣についてのコメントをしている、もしくは、不完全な関係に対するメタファーとして表現されていることに気付く。傷ついたプライドとナーバスな興奮の間で絶妙にバランスを取りながら、こうした歌詞を届けるこのトラックは、Robynの力強いボーカルをもって初めて完成したものとなる。他の誰にも出来るものではないだろう。 これ以外のトラックは、真面目と不真面目の間を行ったり来たりしている。"Sayit"は、もしかすると2009年の名残りなのかもしれない。Benny Benassiの"Satisfaction"を模したコンピュータによるグリッチ・ボイスと一緒に、Robynが歌い上げる。上昇していく音階と鼓動するドラムを拒むのは難しいだろう。"Every Little Thing"は、ドラマティックなダブステップの鋭さを持ったパワー・バラードだ。まだ触れていない曲が本作の最初と最後に残っている。10分間に渡る大河小説のような2つのトラックは、劇場さながらに幕を開け、そして閉じる。彫刻家Juliana Cerqueira Leiteにインスパイアされたという"Monument"には、芸術的意図とこれまでの伝統が含まれている。何かが起こりそうな予感をさせるコーラス・パッドやシンセが作り上げる柔らかな空間の中、Robynが挑戦的に歌い上げる-「Make a space for my body... this will be my monument / This will be my beacon when I'm gone / 私の体の場所を作って... これが私の記念碑となるの / 私が去るとき、これがその印になるの」その後、彼女の声がバラバラになるまでアレンジが施され、乾いたサックスがトラックを黄昏へと導いていく。"Inside The Idle Hour Club"においても、同様の要素が用いられているが、こちらでは暗く悲痛に満ちたものに変わっている。基本的に、Robynの声は聞こえることはないのだが、それでも切ないメロディーの中に彼女の存在を感じることが出来る。このトラックによって、エモーショナルに大きく起伏するEPがゆっくりと締めくくられている。
  • Tracklist
      A1 Monument A2 Sayit B1 Do It Again B2 Every Little Thing B3 Inside The Idle Hour Club
RA