Dave Harrington - Before This There Was One Heart But A Thousand Thoughts

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  • Dave Harringtonは、DarksideにおけるNicolas Jaarのパートナーにあたる存在だ。彼はDarksideに、ちくりとしたブルージーな感覚とスペーシーな上昇感をもたらしており、Jaarの伝統的な技巧によって、そうした感覚が正しく保たれている。「Before This There Was One Heart But A Thousand Thoughts」は、Steve Reich的なギターのレイヤーから、揚々としたテクノまで飛び回る20分間に渡る意欲作だ。言い換えるならば、Darksideの作品には収まりきらない果てしないアイデアに満ちた作品だと言えるだろう。 しかし、焦点が定まっておらず、意欲作ということだけでは、それほど意味を成さない。1曲目の序盤における甘く歌うようなギターに、心を揺さぶられないわけではないが、ギター・サウンドが消え去った後は、重々しいアップライト・ベースがトラック上をよたよたと動いており、そのもったいぶった感覚は場違いだと感じてしまう。そして、背景にそびえ立つディストーションの壁に対して美しいメロディがコントラストを作り上げていき、Fenneszスタイルの荘厳なタッチによって、この組曲は終わりを迎えている。 2曲目は、より自然な展開となっており、カタカタと金属音が静寂の中を響き渡るパートからスタートし、突然降りかかってくるテクノ・ビートとして、ノイズが再び飛び込んでくる。しとやかなコンサート・ホールでPan Sonicがパフォーマンスをしているところを想像してみてほしい。感傷的なサックス・ソロによって、Darksideが時折取り組んでいるようなクラシックものの音楽領域へとリスナーを導いていきながら、トラックは終了するが、このトラックには繊細さがかけている。見せびらかすような、そして時折、大げさな印象を与える本作が迎える芝居がかったエンディングだ。
  • Tracklist
      01. One-All // A Thousand Times // Multiple And Mirror 02. Flash // All-One
RA