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  • ホワイト盤に犬の顔をスタンプするのは、最近の匿名レーベルのトレンドをからかうには最高の方法だが、「DOGE001」には、そうした趣があるわけではないようだ。個人的に本作には、この手の音楽から連想するような重量感のあるテクノでも、冗談として捉えられてしまうような類のものでもない、ディープ・ハウスから切り出したグルーヴがあると思っている。しかし、もっと重要なのは、本作が良作であるということであり、新人、ベテラン、ソロ、グループ、この作品を背景にいるのが誰であるとしても、ギミック以上のものを作り上げていることだ。 「DOGE001」は、"Organ House"というトラックでスタートする。タイトル通り小細工なしのトラックだ。ボーカルの断片と自信に満ちたリズム、そしてゆったりとしたオルガンがその中心にある。シンプルなトラックだが、ジャッキンなドラム・プログラミングによって、単なる紋切型の作品の少し上を行く仕上がりになっている。"Cold Summer Nights"でのゆっくりと歩を進めるベースラインは、同系統のボーカル・オルガンものに、焦燥感のあるトラックの在り方を提示しており、このトラックに限っては、旨みたっぷりのキーボードの演奏と、スネアには中毒性のあるスイング感がある。ドラム・サウンドがキモとなっているトラック"Get Up"は、矢継ぎ早にリズムを放り込んだようなサウンドになっており、見方によっては最高にも最低にもなりうるものだが、いずれにせよ、各小節の最後の拍でのクラップ使いを抗うのは難しいだろう。収録曲の中で最もベストなトラック"A Way With Her"によって、本作の幕が閉じられている。グリッサンドの効いた眩いシンセとダウンビートなベースラインが繰り広げる陶酔感溢れるジャム・セッションだ。Fred Pがピーク・タイムでプレイしそうなサウンドだと言えるかもしれない。
  • Tracklist
      01. Organ House 02. Cold Summer Nights 03. Get Up 04. A Way With Her
RA