John Swing - Dusty Dancing

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  • John Swingの作品はどれも、ある1つのスタイルのバリエーションとなっている。そのスタイルとは、ロウで強烈なアナログ・ハウスだが、彼のベスト作品は、そうしたハウスの完全体と言えるものだ。実の兄弟であるEMGと共に運営するレーベルRelativeから発表しているものは全て一聴の価値があり、一例を挙げるならば、「Relative 003」「Relative 007」「The Live Experience」などは、まさに突出した出来となっている。彼の最新作となる「Dusty Dancing」では、そのタイトルから察しがつく通り、彼がこれまで常に実践してきたことと、ほぼ同様の内容となっている。しかし、今回ほどよく出来た作品はこれまでになかったのではないだろうか。 "Dirty Disco"や"Re Funked"では、Swingが好んで使う素材が全て用いられている。ざらりとしたハイハット、眩いスネア、いびつな形をしたディスコ・サンプル、そしてトラックを飛び回るオーバードライブの効いたキックだ。共に、明るくファンキーなトラックとなっており、じっとりとしたローエンドが入ってくると、かなりのインパクトがある。B面は、若干ながら異なる方向性を取り入れており、"Madman Groove"では、バウンシーなガラージ・スタイルのビートを分厚く躍動するベースラインに組み合わせながら、粒立ったサウンドによって歯切れのいい質感を生み出している。「talkin' 'bout your troubles / お前の問題を話している」というピッチを上げたボーカルが最初に入ってくるが、その後、空へと舞い上がるスムーズなシンセのメロディが用いられるなど、一連のサンプルが、どこからともなく流れてきては消えていく。どちらのサンプルもトラックに入ってきたときには、意外な感じがしなくもないが、これはおそらくSwingによるライブ的なアプローチが制作に取り入れられていることの表れだろう。 B2の"Raw Twist"では徹底してEMGに影響を受けた不気味な音楽観が漂っている。2人が得意とする急かされている気分にさせられるハイハットが、シェイカーとアップライト・ベースによる吐き気をもよおしそうになるループと拮抗しており、怪しくアグレッシブなハウスにおける暗黒面を作り出している。他のトラックと同じペースを保ちつつ、このトラックは、Swingがストレートなパーティー・ヴァイブス以外の要素も持ち合わせていることを証明している。
  • Tracklist
      A1 Dirty Disco A2 Re Funked B1 Madman Groove B2 Raw Twist
RA