Tames - Vivid Elements

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  • たった4枚のリリースしただけにも関わらず、レーベルGaldoorsは、突出した音楽観を築き上げる道を上手く切り拓いたようだ。Audio Werner、Elgato、Junesらの12インチは全て、ミニマルのスタンスにおけるハウス・ミュージックを取り入れ、軽やかなタッチと歯切れの良い音使いだけでなく、微細な違いの中にも新たな方法が生まれうることを示している。レーベルの最新作となるのはニューカマーであるTamesによるものだ。同じく、こうした価値観を共有しているが、プロデューサーとしてミニマルな作品を作るにあたって若干、ぎこちなさが感じされる。 大きくうねるを生み出し海中にいるかのような感覚を覚えるシンセと独特な柔らかいスネアによる"Vivid Elements"は、Joey Andersonへと賛美を示唆していると言えるだろう。結果、十分に気持ち良い仕上がりになっているのだが、Andersonの良作を魅力的なものにしているあの品のある感性が、ここではそれほど感じられない。よく出来ているのは"Episodes"の方だ。丸みの帯びたキックと、引きずるようなベースラインによる重低音と、スネアをきめ細かく折り重ねた高域を強調することで生まれる巨大な空間を感じさせる感覚があり、中域では、控えめなサウンドによって全ての要素が1つにまとめ上げられている。しかし、最も興奮させられるのは"Squeeze"だ。リズムの枠組はほぼ同じなのだが、浮遊感のあるサウンドの代わりにしなやかなシンセが用いられており、良い意味で予測の出来ない動きを見せている。こうしたアレンジメント面での極端なシンプル化は、緊張感を減らすどころか、むしろ高める結果となっており、この点こそ本作で唯一ファンクネスが感じられるところなのだが、危険な感じがあるわけでもない。
  • Tracklist
      A1 Vivid Elements B1 EP isodes B2 Squeeze
RA