Dauwd - Kindlinn

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  • ここ最近で最もクラシックなKompaktらしいサウンドを制作しているのは、実は若手のアーティストだ。Dauwdがこれまで発表してきた眩いトラックはどれも、ケルンにおける伝説的レーベルであるKompaktからリリースしてもしっくりくるものだったが、彼にとって初となるこのレーベルからのEPでは、DauwdことDauwd Al Hilaliは特にリラックス出来ているようだ。メロディが溢れ出し、光り輝く空気と共に幕を閉じる「Kindlinn」のサウンドは『Immer』に収録されなかった未発表音源のようでさえある。 「Kindlinn」は格式高いラブ・ソングを収めたEPだと言える。"Lydia"は求愛の儀式のためのトラックだろう。Max Cooper流の転がるようなベースラインが焦燥感を掻き立て、若干グリッサンドの効いたサウンドは興奮しすぎたときのしゃっくりのようだ。優雅なシンセのサウンドが上下に揺れながら、『Dark Side Of The Moon』のようなサウンドと戯れへと大きく展開していく。 ダンサブルかつダーティーな"Kindlinn"は、ぼこぼことしたベースラインと情熱的なシンセの叫び、そして固めのピアノ・サンプルをもとに作られている。しかし、ホーンによって空間が満たされていることによって、最も激しい展開になったときでさえ、優雅な感覚が保たれており、トラックには柔らかな印象が与えられている。"Rain Raker"では、"Kindlinn"のメロディが再び用いられているが、今回は哀愁に満ちており、ゆっくりと眠りについていくにつれ、トラックは暖かな光へと解き放たれる。もしかすると本作は時代を逆行しているのかもしれない。しかし「Kindlinn」はKompaktの気持ち良い音楽観をしっかりと捉えたバランスの取れたEPとなっている。
  • Tracklist
      A Lydia B1 Kindlinn B2 Rain Raker
RA