Doubt - Remember Fono

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  • DVS1のレーベルMistressから第3段となるリリースは彼のホームタウンであるミネアポリスから届けられたダイアモンドの原石だ。Ostgut TonやWorkshopの旧作を再構築したかのような、じめっとしたテクノが2枚のEPに収められている。Doubtにとってデビュー作となる本作ではこの手の音楽でお馴染みのサウンドを用いて、本当の興奮というものを生み出している。 Doubtはサンプルの断片をループさせるのが得意で、ぶつ切りにされて刺々しくなった質感を厚みのあるノイズのようなレイヤーを重ねることで上手く和らげている。眠たげながらも力強さのある彼のテクノには、ゴシック建築の荘厳としてひんやりとした感覚につながるものがある。"Remember Fono"ではメタリックなサウンドがスウィングする一方で、その背後で鳴らされるメロディは悲しみに満ちており、トラックの核となる部分がぐらぐらと揺らめいている"Not Before"では、叩きつけるテクノ・ビートが組み合わされている。壮大なトラック"Captain Hours"におけるブラス・セクションによるリードは軋むように鳴らされ、そこへLFOが見事にタイミングで揺らぎを加えらる。"Noc"では、ビートに絡みついてくるメロディとは対照的に高域のシンセが意気揚々に弾け回っている。ベルクハイン・スタイルのテクノを定義づける無機質なサウンドから構築されたトラックだが、そこへ、ぎらりと光るノイズを織り交ぜている他、真の創造力というものが組み込まれている。 Doubtのアプローチをさらに濃く打ち出した長めのトラックが2曲、ボーナス10インチには収録されている。リズミカルなサウンドと叫び声をあげているかのように恐怖感を煽るシンセによる"Beauty"はNorman Nodgeがプレイしそうなトラックだが、トラックの中盤ではストリングスのようなサウンドによって盛り上がりを作っている華麗なブレイクが挿まれている。一方、"Vertigo"はCaretakerのトラックを内部から崩壊させたような仕上がりとなっており、結露を起こすほどじめっとしたビートの隙間を縫ってピアノのメロディが配置されている。
  • Tracklist
      A1 Remember Fono A2 Not Before B1 Captain Hours B2 Noc
RA