Leon Vynehall - Music For The Uninvited

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  • 2014年の最初のリリース、そしてMartynのレーベル3024からは2回目のリリースとなる本作はシンセとストリングスによる小さなシンフォニーを取り入れたビートレスな内容となっており、Leon Vynehallから一切、自信が失われたりしていないことを表している。"Inside The Deku Tree"でのエモーショナルなまでに迫り来る今にも壊れそうな造形美を前にすると、その自信も当然だと言えるだろう。それ以外にも「Music For The Uninvited」に収録された6つの楽曲、36分間に渡ってブライトンのプロデューサーであるVynehallは自身が台頭していることを力強く証明してみせている。 母親が運転中にかけていたヒップホップとファンクのテープ、特にフォーマットの特性上におけるコンプレッサーのかかったサウンドから今回の作品はインスパイアされたとVynehallは語っている。この点は眩暈がするような粒立ちの荒いサウンドが包み込んだアレンジを聞けば明らかだろう。ゼルダの伝説にインスパイアされたという"Inside The Deku Tree"は今にも生命を宿しそうな恐ろしいトラックだ(結局は焦らすだけで終わるのだが。)トラックは"Goodthing"の悲しげながらも弾むハウス・ミュージックへと流れるように展開していく。ミュートした状態で奏でられるストリングスとダビーなシンセ、そして控えめなパーカッションによる"Be Brave, Clench Fists"はPépé Bradockの"Deep Burnt"を彷彿とさせるものであり、同じくらいに壮大で華麗なトラックに仕上がっている。 本作で最もダンスフロア直系のトラックは鼓動するネオ・ガラージ"Piers Children"だろう、叩かれるコードはCDが詰まったときのような音を立てている。その一方で"It's Just (House Of Dupree)"では、天高く鳴り響くシンセによるトリル・サウンドと飛び出てきそうなボーカルの断片が控えめながらもジャッキンなグルーヴの上をくるくると飛び回っている。『Moon Safari』からの影響を感じされる豊かでゆったりとしたベースラインによる"Christ Air"というトラック・タイトルは決して『Moon Safari』と無関係ではないだろう。"St. Sinclair"によって本作に日暮れが訪れる。アナログの質感を存分に活かした心地いいダウンテンポ・トラックだ。「Music For The Uninvited」において、Vynehallは様々な要素を取り入れた素晴らしいハウス・ミュージックを作り上げた。年中ずっと効き続けることになるだけの価値がある作品だ。
  • Tracklist
      A1 Inside The Deku Tree A2 Goodthing B1 Be Brave, Clench Fists B2 Pier Children C It’s Just (House Of Dupree) D1 Christ Air D2 St Sinclair
RA