Dizzee Rascal / Wen - Strings Hoe (Wen Refix)

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  • Dizzee Rascalの10年前のトラックをWenがリミックスしプレイしてから1年が経ったが、いまだにグッとくるものがある。2人にとってこれは賞賛に値することだ。そのトラックが収録された本作はWenにとってKeysoundから2枚目となるリリースであり、この20年間にイギリスのタフなミュージック・シーンに起こったこと、ジャングルからグライムやファンキーまでを含んだ現在進行形のシーンを完璧に具体化したものでもある。 過去へのノスタルジーと現在の急進性の間に生まれるテンションを用いたこのリミックスは、彼のデビュー作「Commotion」を唯一無二のものに仕立て上げたもの、つまり、素材そのものの鋭さや協力な低音の躍動感、そして歯切れのよいシンセ音といったと同様の手法を取り入れている。"Strings Hoe"のオリジナル・バージョンではスタッカート気味のストリングスが使用され耳に残るものだったが、ここではそのストリングスのピッチを落として孤独な印象を生み出して、断片化したDizzeeの声に組み合わせている。その声は絶妙にカット・アップされており、それだけでリズミカルな素材になっているほどだ。WenことOwen Darbyのシンプルなアプローチが力強い結果へと導いていると言えるだろう。このリミックスは明らかに本作におけるメイン・フィーチャーだが、その一方でBサイドの"Signal"はWenのこれまでの作品の中で最も精錬されたトラックの1つだ。威勢のいいグルーヴと空けるように透明で矢継ぎ早に紡がれるパーカッションは綺麗に取り出された骨格だけで成り立つグライムのようであり、今後リリース予定のWenのアルバムをさらに楽しみにさせてくれるものだ。
  • Tracklist
      01. Dizzee Rascal - Strings Hoe (Wen Refix) 02. Wen - Signal
RA