Ø [Phase] – Dirtro II

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  • ロンドンに住むAshley Burchett(Ø [Phase])にとってRobert Hoodは多大な影響を持つ存在だ。この2人に共通しているのはless is more(少ないことで多くを成すこと)の精神であることは明確だろう。Hood同様、Burchettも単にダンスフロアで消費されるだけに留まることのないテクノ作品を生み出す術を知っている。実際、昨年に発表されたデビューアルバム『Frames Of Reference』(英語サイト)では微妙な違いを調整して緊張感をコントロール出来る技術を持っていることを証明してみせている。また、アルバムにおけるテクノとしての性質をダブやアブストラクトな要素とミックスしていたが、2枚目のシングルカットとなる本作には最もミニマルな一面を持つトラックが収録されており、ここにあるオリジナル作品とHoodのリミックスは共に少しの素材から大きなインパクトを生み出している。 ほんの一握りの素材のみで成り立っている"Dirtro II"。同時に鳴らされているのは多くても3つの素材程度だ。シンセ・リフと重低音の間に生まれている空間や、シンセと入れ替わりでアルペジオ・サウンドが入ってきても引き続きシンセの雰囲気を感じることが出来る点に、Burchettのスキルを垣間見ることが出来る。素材が互いに重なり合っていくにつれ、実際に鳴っているサウンドだけではなく自分の意識の中で鳴っている想像上のサウンドを聞いているかのような感覚に陥ってしまう。 Hoodのリミックスも同じくヒプノティックだが、違う方向から作り上げられている。彼のミニマリズムはループが崩壊していくまで使い続けるところにある。Hoodによって強化され、デトロイトのエッセンスが加えられたオリジナル・バージョンのリード・シンセが最初から最後まで激しく攻め立てている。ホワイト・ノイズがサウンドの間を掻き乱していくにつれ、キックとシンセがしっかりとグルーヴを生み出し、時折、抑圧されたサウンドがエネルギーの亀裂の中に一気に広がっていく。オリジナル・バージョン同様、極めて少ないサウンドの中にHoodは多幸感を見い出している。
  • Tracklist
      A Dirtro II B Dirtro II (Robert Hood's New Device Mix)
RA