Hexagon - Blue Hour EP

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  • HexagonことBoris Bunnikがエレクトロ名義Versalifeで発表した『Vantage Point』とConforce名義でのLP『Kinetic Image』の中間を突き進むかのように、彼の作品はますます殺伐としたものになってきている。実際のところ、殺伐とし過ぎているのかもしれない。モノクロながらも情感に満ちた凍て付くような風景の中を彼はひたすら駆け抜けている。Versalifeより後に始めた名義Hexagonは、Conforceと同じベクトルを持ったものだが、昨年の「Red Shift EP」においてダンスフロアから距離を取るチャンスを得た結果、彼は宇宙の中で孤独に響き渡る機械音のような毒々しいダウンテンポやビートレスのトラックを生み出している。 この作品に続く本作も自身のレーベルTranscendentからのリリースだ。一見大きな違いないように思えるが、一層、物質的な質感になっている。"Absentum"はおそらくConforceから派生したものだろう。物憂げなシンセ音が目くるめく解き放たれていき、点描画法のようなテクノ・グルーヴがそれを支えている。唸りをあげる"Spectral Analysis"では、まるでDrexciya作品をVersalife流に仕上げたかのような雷鳴が遠くで轟いている。通常の作風と異なりポジティブな空気に満ちたトラックも収録されている。1曲目に収録された"Forecasts"はキッチュでSF的な華麗な世界が広がる傑作トラックであり、最後の"Illuminated Atoms"にいたってはブギーと言えるかもしれない。もしも宇宙の最も冷たい場所からブギーがやって来たのであればの話だが。スローモーションなテクノが繰り返される"Physical Demension"は官能的ですらある。針のように突き刺ささるハイハットと適切に用いられた303のサウンドによって展開していく。現時点ではBunnikのサウンドについて異論を唱えるつもりはない。しかし、もしかすると彼は孤高の存在過ぎるのかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Forecasts A2 Absentum A3 Spectral Analysis B1 Physical Dimension B2 Illuminated Atoms
RA