- また1年が経ち、また1枚のダブプレートがヴァイナルへとプレスされた。MalaとCokiは、彼らの、もしくはMalaの最盛期に制作された無限にあるかと思えるほどにストックされたトラックを一気に放出したりすることなく、上手く活用しながらゆっくりとリリースしてきている。そういう儀式であると言っていい。ソロ名義ではなく、Digital Mystikzとしてクレジットされてはいるが、いつもどおり、彼らがそれぞれ、どちらの面を担当しているのかは明らかだ。
Malaサイドに関して言えば、"2 Much Chat"は、彼らの狂騒の世界、つまり、いつもどおり、各要素の均衡が完璧に取れていながら、振り解かれているかのような世界の上に成り立っている。不協和に響くホーン・サウンドと焦燥感のあるシンセ上に、Malaはダンスホールのボーカルを重ね合わせながら同時に、そこへ捻りを加え、これまでのイメージよりもさらに混沌とした悪夢のようなダブを生み出している。このトラックはMalaにしか出来ない方法によって見事に成立しており、制作後、何年も後に発表しているにも関わらず、そのユニークな切れ味は衰えていない。
Cokiによる逆面は、彼が普段やっているウォブルなベースで鞭打たれるような、その手のトラックよりも、若干控えめな印象だ。新しいトラックのようにも聞こえる"Coral Reef"では、彼の最近の作品で聞くことの出来る黒板を爪で掻いたようなサウンドは取り除かれ、代わりにJoker風のサイケデリックなサウンドによってトラックの中域が強調されている。両面共にダブステップのルーツにしっかりと根付いており、DMZのトラックに関する限りは、その最上段に位置していると言っていい。
Tracklist A 2 Much Chat
B Coral Reef