Rrose - Monad XVI

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  • 今年1月のリミックス以来、RroseがStroboscopic Artefactsに帰って来た。今回は一貫した音楽性を展開する(そして残念ながらデジタルオンリーの)Monadシリーズからのリリースとなる。この数年、この謎に満ちたプロデューサーはフィジカルとメンタルの両面から根源的なアプローチをテクノに持ち込み続けている。そして本作では、Momadシリーズの実験的な姿勢に見事にフィットしながら、Rroseは普段以上に深く深く潜り込み、おそらく彼の作品の中で最も強力な作品を仕上げてきた。 強烈な視聴体験が詰まったこのEPは、構築と解体によるストイックな展開、これに尽きる。1曲目の"Onceless"は広大に展開するドローンサウンドとコロコロとこだまする音の波に飲み込まれ、3分以上に渡って、キックドラムにより大海原へと投げ出される。本作では唯一、キックからスタートする"The Stare"では、徐々に空間を飛び回るシンセとシンバルの連打によって、抑制された曲調から意識を切り刻むほど濃厚な瞬間まで展開していく。一切ビートを使用していない"Kneeling"は、うめき声が聞こえてきそうな奈落の底へ真っ逆さまに堕ちて行くかのようだ。しかし万華鏡のように変化するサイレン音が互いに近づいては遠ざかって行き、落下速度はその度に変化していく。最後に収録された"Wet Silk Will"。この100BPMのトラックを聞けば、昨年、Rroseが手がけたRAのポッドキャストでの序盤の展開を思い出すのではないだろうか。不協に響く高域のメロディを用い、シャーマンが笛を奏でているかのようなサウンドを作り上げるこのトラックによって、テクノを全方位から照らし出してきたサウンドスケープはその幕を閉じる。最初から最後までの30分間、一切、気の抜くことの出来ないEPだ。
  • Tracklist
      01. Onceless 02. The Stare 03. Kneeling 04. Wet Silk Will
RA