Yves De Mey - Frisson

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  • サーフェイスノイズ――レコード針が盤をなぞる時に発生する微細なざらついたノイズのことだ。ベルギー人のYves De MeyとPeter Van Hoesenが新しいレーベルArchives Intérieuresを始めるにあたり避けようとしていたものこそ、このサーフェイスノイズだ。そのため、彼らはCDのみで音源をリリースすることにした。デジタルフォーマットでのリリースを避けるというのは聞いたことがあると思うが、最近ではヴァイナルオンリーのレーベルは当たり前になっている中、なぜ彼らがCDのような流行していないフォーマットを採用したのか、ここには興味深いものがある。 音楽そのものが良くなければ、フォーマットを選択したところで何のメリットもない。幸いなことに本作「Frisson」は本当に素晴らしい作品だ。Yves De Meyによるミニマルグルーヴはまるでコンピュータによって構築されているかのように聞こえるが、実際はベーシックなハードウェア機材から入念に生み出されたものだ。"Isorrhythmia"では外れたリズムと勢いを増しながらいびつなグルーヴへ変化していく唸るシンセとパッドサウンドが上手く組み合わされ、"Frisson"では耳に残るシンセサウンドが暖かく、ダビーなべースラインが見事に調和している。 その表面にはノイズがアクセントとなり色づけが成され、反復するサウンドは非常に催眠性がある。"Cadence"全体に漂う、張り詰めた強烈な空気の中で、プロペラが回っているかのようなビートと延々と鳴り響くチャイムの音が浮かんでは消えていき、爆発するように不協和音へと展開していく。Peter Van HoesenとMiles Whittakerの2人が"Isorrhythmia"のリミックスを担当しており、Whittakerはディストーションを積み重ね、ノイジーで悪夢のようなトラックへと変貌させた。一方、Van Hoesenはエコーサウンドを帯びたダブ処理を土台として低音と戯れている。
  • Tracklist
      01. Frisson 02. Empty prints 03. Cadence 04. Phoresis 05. Isorhythmia 06. Isorhythmia (Miles Spring Pressure Remix) 07. Isorhythmia (Peter Van Hoesen Rough Dub)
RA