Various Artists - Zero Point One

  • Share
  • 元Instra:mentalのDamon Kirkhamが新たなヴァイナルオンリープロジェクトZeroシリーズにおいて、素晴らしいゲストラインナップを発表した。これはEPというよりも、ミニアルバムといった体裁だ。本作の幕を開けるのはJon Convexを名乗り活動するKirkham自身。"Move"ではJimmy Edgarによる重く処理されたボーカル(悪魔的かつおどろおどろしい)が骨組みだけながらもアグレッシブなトラックの上で用いられており、対空砲火や狂った酸性パターンのように打ち付けるドラムによるハーフステップトラックとなっている。シンプルな作りでどことなく泣上戸なWraetlicによる"Incapacity Benefit"はひねりが効いていて、冷徹なオルタナティブヒップホップだ。オーストラリアのプロデューサーであるLight Year、シドニーのテクノ専門レーベルMonorikからのリリースで知られる彼は、不協に響くシンセと無慈悲に叩かれるスネアを配置し、Louisahhによる息遣いが聞こえてくるようなBats For Lashesスタイルのボーカルがそれらの音と中和しあっている。 Convex自身はというと2つ目のトラック"Day After Day"で、よりメロディックなアプローチを取っている。小刻みなシンセによるうねりはトランスとそんなに離れているわけではない。そのため、このトラックがSei Aのトラックへとつながっているのは、既成の価値観からしてみればショックなところがある。Andy Grahamはルードでアシッドなベースラインを得意としているが、"Menchy"も例外ではない。連打されるビートはまるで警察がドアを激しくノックしているかのようであり、不安感を煽る。Graham同様、この数ヶ月で大きな成功を収めているJ.Tijnによる、抑制されたシンセと軋むUKガラージ的ボーカルのエネルギッシュな"Rough Edge"はおそらく、本作中でベストの出来だ。いちEPとして、幾分か不揃い感はあるが、これほどの才能を色々と見ることが出来ることもあり、理解に苦しむほどではない。
  • Tracklist
      01. Jon Convex feat. Jimmy Edgar - Move 02. Wraetlic - Incapacity Benifit 03. Light Year feat. Louisahh - Inside 04. Jon Convex - Day After Day 05. Sei A - Menchy 06. J. Tijn - Rough Edge
RA