Etch - Old School Methods

  • Share
  • サウンドシステムカルチャーのDNAを新たな形で表現する流れに乗った多数のプロデューサーが溢れる中、KeysoundとEtchとの契約は、その中から探り当てた一番新しい発見だ。このムーブメントはLogosやVisinistのように単にグライムにおける1つの話題としてだったり、BeneathやWenのようにダブステップの価値観におけるリバイバルとして片付けられたりはしない。そのことを、彼の最近のリリース、Soundman ChroniclesやKeysoundからの「Allstars Vol. 2」は証明した。とは言うものの、Etchは明らかに後者の立場にいて、直近の作品"Scattah"はかつてのToastyboyのビートと言えたかもしれない。しかし彼はほとんどの場合、ハードコアミュージックが持つ目眩のするような高揚感やジャングルにおけるトリッキーで面白いリズムを再検討し新たな方法論で持って提示することにフォーカスしてきており、ラウドネスを抑制したTesselaとでも言えるかもしれない。 「Old School Methods」はこれまでのEtch作品の中で最も技術的に極まったものであることは確かで、特に"Hybrid"は彼の過去の作品におけるスロージャングルの美学を極限まで鋭くしたものだ。しかし、同時に彼の幅広さを感じる場面もある。J-Oneとの"Sounds"は死を連想させるほどに不気味なトラックで、端正な2ステップが構築され、小刻みに揺れる素晴らしいベースラインをその身に纏っている。他のトラックは、ジャングルの衝撃を様々な形で味わうことが出来る弾丸ツアーとなっている。"Sphynx"はより厳格な内容となっていて、冷徹なスネアと遠くで鳴るMentasmのサウンドが影に潜む驚異を感じさせる。一方、"lost Methods"はさらに荒涼としており、突き上げるベースラインと引き締まった雰囲気、そしてパーカッシブに跳ねるブレイクビーツは黄金時代のPhotekから引用したかの様だ。Etchによる断片化したリズム素材は先代のアーティストのそれのように完璧なものではないかもしれないが、その領域に沿っている彼は賞賛に値する。
  • Tracklist
      A1 Hybrid A2 Sounds feat. J-One B1 Sphynx B2 Lost Methods
RA