

全体を通してのプロダクションは輪郭がおぼろげでうっとりとする催眠性があり、その音楽は始まり、途中、終わりを感じさせない。夢のような風景と共に重なりあう優雅なパッドシンセが地平線へとうっすらと消えていき、リスナーでさえも姿を消してしまいそうだ。しかし、決して行き過ぎではなく、本作の最初と最後はビートレスの曲で挿まれてはいるものの、Lawrenceは完全にアンビエント方向に行ってしまったわけではない。小刻みなキックドラムやハイハットが常に使用されており、夢心地で波のようなリズムに包み込む。シャッフルするリズムに何かを思い起こさせるような"Kurama"から、悲しげながらもアップリフティングな"Creator(Final Call)まで、ただただ美しい。
同時に『Films & Windows』は控えめの色と虚ろなネオンの残像をばら撒いたかのような色彩豊かなアルバムだ。全曲一貫して、ぼんやりとしたパターンが現れては時間をかけて展開していく。細かくも絶妙なグルーヴの上で、そのパターンは上品に漂いながら、いとも簡単に(良い意味で)眠気を誘うだろう。そして同様に、優しく肌をなでながらダンスへと誘うだろう。
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掲載日 /
木 / 24 Oct 2013 -
文 /
Kristan Caryl -
翻訳 /
Yusaku Shigeyasu -
Tracklist /
01. The Opening Scene
02. Marlen
03. In Patagonia
04. Films & Windows
05. Etoile Du Midi
06. Lucifer
07. Kurama
08. Angels At Night
09. Har Sinai
10. Creator (Final Call)
11. Teenage Barb