- FaltyDLは、新しいレーベルBlueberry RecordsをBrrdという完全に未知なるアーティストのEPでスタートさせる。それについて彼からの説明が欲しいが、13曲収録したデビューEP 「Towers / Anointing」が、Brrdについて全てを物語っている。なんの手掛かりもない状態だが、このリリースは決してその場しのぎのコラージュではなく、類い稀な才能を存分に発揮したプロデューサー像を明確に描いている。
Brrdのサンプル処理のアプローチは無秩序である。EPの前半は、浮遊感のあるビートに代表する"SOCOCJ2"のようなJazzyなインストを中心に焦点を当てている。彼のサンプルのソースは、録音環境が悪いダスティーなジャズか、鮮やかで活気のあるやソウルのレコードからが多いようだ。子守唄の様な"Fuck Bon Jovi"では、その両方のテイストが邂逅している。ボーカル・サンプルに固執したレコードの裏側、一曲目を飾るのが"Anointing"。ソウルフルなボーカルが、熱烈な説教とピアノのメロディーを上手く調和させつつ、切り取ったボーカルサンプルをごちゃ混ぜにすることによって、スムースなジャズからの逸脱を試みている。"Blood Oath" と、優しメロディーが際立つ "Wake Up And I'm 45"では、安価なキーボードの雑なピッチベンダーを使用しているかのように、サンプルのピッチを早くしたり遅くしたりしている。その変化が方向感覚を損失したような質感をこのEPに与えている。それは不思議な世界に吸い込まれる煙の匂い漂う、幻惑の世界だ。
Tracklist A1 Embrace!
A2 SCOCJ2
A3 Freezetag
A4 STDB
A5 Fuck Bon Jovi (SLF)
A6 The Academy Pt 1
B1 Anointing
B2 Wake Up and I'm 45
B3 Youth Group
B4 Erase My Future
B5 Satan
B6 Blood Oath 2
B7 When I Get To The Pearly Gates Saint Peter Will Sing Me This Song