Moin - Moin EP

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  • Tom HalsteadとJoe AndrewsはRaime名義にて退廃の美学を極め、ファーストLPとなる『Quarter Turns Over A Living Line』に到達した。彼らのサイドプロジェクトであるMoinはBlackest Ever Blackからの派生プロジェクトConfessions Seriesからデビューしている(当時は正体を伏せていた)。Pete Swansonと共にスプリット盤7インチに収められたその曲には生楽器が加えられているもののRaimeとサウンドが似通ったものだったが、本作では彼らはそのサウンドの純度を高めている。彼らのデビューである本EPはトレードマークである、おぞましく鳴り響くエイリアンサウンドを引き続き使用し、奇怪で不気味な感覚をポストパンクが持つ粗野で未加工なエネルギーへと置き換えた。 ぬかるんだ大地から聞こえてくるようなベースラインと重く反響するギターによりスタートする"Murphy"。これまでで最もゆったりとしており、生ドラムによる演奏によってRaime名義でのミニマリズムとシャープさに対し一線を引いている。"Stacie"では突風のようなフィードバック音と乾いたタムドラムが掻き鳴らされる中、正体不明な言語(実は日本語)のサンプルが点在するように使用されている。最も重厚な曲"Clancy"、フィードバックとディストーションのレイヤーによって存在感のあるリフが埋もれていき、そこへ眠たげなベースと性急なドラムによって更なるヘヴィネスが加わっている。 この「Moin EP」やクラストパンク・ブラックメタルユニットRaspberry BulbsやPeter RehbergのバンドShampoo BoyのリリースはBlackest Ever Black方面のエレクトロニックミュージックファンには歓迎されるようには見えないし、これらの音楽は例えば「Raime EP」ほどオリジナルな響きを持っているわけでもないかもしれないが、それでもやはり素晴らしい作品であることは間違いないし、既存の価値観に対し、歓迎すべき驚きをもたらしている。
  • Tracklist
      A1 Murphy A2 Stacie B Clancy
RA