- コラボレーションを得意とするMove Dだが、その中で最も可能性を秘めた新しいアーティストがHEARである。彼は楽曲制作を始める '00年代中期以前は、彼の母国カナダで映画監督を務めていた。Distance Voicesは、２人による初めてのコラボレーション作品で、モントリオールの折衷主義で実験的寄りレーベルよりリリースされた。Move Dのダークサイドなプロダクション精神と、HEARの映画監督時代に培ったムードのあるサウンドスケープ。レーベルが両方のアーティストへ自由奔放に表現する事を認めたような様子が伺える。結果を見る限りでは、普段のMove Dらしい独特の暖かいハウス・ミュージックではないものが出来上がっている。
"Irene Birth"は、くすんだ金属音とキックが深々と響き、まるでホラー映画の鐘の音、エイリアンのさえずりのように感心を誘い、わずかなリズムと成熟したベースラインがさりげなく交錯する。この楽曲は、スタイルが異なる後の２曲の導入曲として聞き手の心を奪う。"Open Spaces"は抑制された宇宙で奏でるテクノ、荒涼とした前曲よりも空間的で明るい印象を与えたまま、次の曲へと旅を続ける。"Montytek"は、パニックを誘発するリードシンセとヘビーなキックを慎重に張り巡らせた、やりたい放題なトラックだ。
Tracklist A Irene Birth
B1 Open Spaces
B2 Montytek