Deebs - Awry

  • Published
    Sep 3, 2013
  • Words
  • Label
    White label
    N/A
  • Released
    July 2013
  • Genre
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  • トロント出身のWill Diebelはその特異なヒップホップからの影響を踏まえて考えるならば、彼の盟友であるRyan Hemsworthと同じカテゴリーに分類することはたやすい。とはいえ、Deebが手掛ける音楽はメインストリーム的なラップとはほとんど関連性を見つけることができず、Hemsworthのユーモア感覚とは対照的なスケールの大きさを感じさせる。この「Awry」(カセット・テープでのセルフ・リリース作)はDeebにとってのデビュー作であり、独特のシアトリカル性に満ちた性急なサウンドが詰まっている。 また、Deebの音楽は彼の同僚たちがレイヴ的な偏愛をみせるいっぽうでエモーショナルな芯を持ち合わせている。"At Sea, Sea Siq"はでかすぎるベースラインとうねるドラムがトラップを仕掛けているが、ここで強調されているのはメタリックなサウンド・エフェクトがリズムの隙間をこそこそと這い回るその空間性だ。同様の感覚をもとにした"BBFF"はぎこちないリズムと病的なリード・ラインを組み合わせているいっぽう、"Elevate"での堂々たるサンプル使いはスカスカのThe Neptunesスタイルのビーツのまわりをくるくると回転している。 "Lady Killer"では木管のサウンドと火星人のようなヴォーカルで輪郭が柔らかに処理されているが、メロディラインはそのストレンジな音響のなかに消え去っていくようで、トラック全体が突如として不安定になってしまうような感覚を与えている。いっぽう、"Years"では最初から巨大な存在感で迫りくるかのようだが、全体を覆うリヴァーブの奥底にはかすかなパーカッション・フィルが仕掛けられている。このカセットEPは内省的なトラック"Finally Home"で締めくくられる。このEPがゾッとするような金属的質感とコーラル的なヴォーカルを中心に編まれていると考えると、こうした内省的な曲でさえ、彼の巨大なサウンド性は隠しきれないと言うことができそうだ。
  • Tracklist
      01. Arcadia 3333 (Intro) 02. Elevate 03. Lady Killer feat. Mars 04. At Sea, Sea Siq 05. Years 06. BBFF 07. Finally Home
RA