Don't DJ - ˈrɪð.əm

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  • かつてのThomas Brinkmannを彷彿とさせるターンテーブルを使用してサウンドを創出する2つのプロジェクト、Institut Für FeinmotorikとDurian BrothersのメンバーであるFlorian MeyerによるソロプロジェクトDon't DJはEPのタイトルである「ˈrɪð.əm」(=発音記号で「rhythm」)の名の通りパーカッションをベースとした5つの楽曲を発表した。 全編を通して一貫しているトライバル感覚、特に"Drob"でのパーカッションと歪んだシンセ音のうねりにより生まれるファンクネスや、マリンバのポリリズムによるミニマリズムが静かな狂気を生み出す"Looppool"は、これまでFlorianが携わってきた作品とは一線を画すものがあり、プロジェクト名とEP名に関係においてFlorianが何を意図しているのかは想像に任せるしかないが、しっかりとDJプレイとして機能し得る内容になっているのは確かだ。Bサイドではサウンドのテクスチャーが際立った内容となっている。拍子を変化させる実験的なリズムを取り入れている"Black Zebra"、ハッキングノイズがヒプノティックなリズムを多い尽くす"Euclideangrid"、ロウファイな残響が生み出すレイヤーの変化による陶酔性に満ちた"End&"の3曲は同じサウンドが鳴っていても常に質感が変化しているかのような独特のうねりがあり、聞くたびにリスナーの異なる知覚を喚起する豊かな刺激に満ち溢れている。 前述の2つのプロジェクトと比較して、本作では従来の方法論から逸脱することなく楽器(パーカッション)を使用していることが非常に興味深い。その一方でシンセシスの面で楽器の響きにアプローチをかけている印象がある。制作方法の差異によるサウンドの可能性を今後も楽しみにしたい。
  • Tracklist
      A1 Drob A2 Looppool B1 Black Zebra B2 EuclideanGrid B3 End&
RA