Die Vögel - The Chicken

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  • Die VögelはDJ Kozeの門弟と考えることも出来る。このジャーマン・デュオはこれまでKozeのレーベルPampaでのみ作品をリリースしてきているし、その諧謔性に満ちたユーモアのセンスはまさにKoze直系のものだろう。Jakobus SiebelsとMense Reentsの2人はこれまで必ずしも多作ではなかったが、そのリリースごとに残してきたインパクトは小さくない。この"The Chicken"もまさしく、好奇心に満ちたリスナーたちに強い印象を残すだろう。 最初の3分間、このトラックは意外なほどにノーマルな印象だ。ここには"Blaue Moschee"で聴かれたような中東の酒場のようなムードはないし、"Fratzengulasch"での狂ったリズムも消え去っている。そのかわり、どこかRobag Wruhme(Pampaでのレーベルメイトでもある)を思わせる軽やかなスイングが続き、やがて強いインパクトを持ったヴォーカル・サンプルが飛び込んでくる。"Try to look a chicken in the eye with great intensity"と強いドイツ訛りのヴォイスが鳴り響き、"the enormity of their stupidity is just overwhelming."と続く。時折カズーのようなシンセと木管楽器のようなサウンドがせり上がり、トラックは単なる珍奇なものになってしまいそうなところを、その下に敷かれたキラー・ビートがしっかりと支え続けている。 こうしたストレンジな展開はいかにもDie Vögelらしさが全開といった趣だが、フリップサイドの"Mesmerize"は対照的におとなしいトラックだ。Kozeのアルバム『Amygdala』からのアウトテイクとも感じられるこのトラックは、グルーミーなハウスグルーヴにホーンを振りまいてあり、2009年の彼らのファーストEPの発展版といった趣だ。常に周囲を驚かせるデュオによる新たな成熟が提示された1枚。
  • Tracklist
      A The Chicken B Mesmerize
RA