Coni - My Secret Diving

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  • ブーミーでベース・ヘヴィーなハウスが昨今大流行しているが、環境衛生的な観点とは相性が悪い。とはいえ、この18ヶ月のあいだ、パリのClekClekBoomはその独自の空間に自らを閉じ込め、それでいてゲットーテックやガラージを昇華したユニークなGallicスタイルを編み出した。ConiことNicolas Olierはその首謀者のひとりであり、ClekClekBoomにとって2枚目のリリースとなるデビュー作においてチープながら輝きを秘めた"Luz In Pool"を披露し、Bashmoreが乗り移ったかのようなカウベルとせり上がるようなサブベースでFrench Fries やBambounouの最近のリリース作品と見事に肩を並べている。しかしある点においてはOlierはパリに息づくダンスミュージックの系譜を着実に引き継いでおり、デビュー2作目となるこの"My Secret Diving"ではDJ FunkからというよりDJ Deepからの影響が色濃くにじみ出ている。 全3曲ともに早朝のダンスフロアーを思わせる仕上がりで、ベースの音圧の上には霧深いリヴァーブがドレープのように被さっている。Coniらしいレシピは健在で、ハイハットの下でキックドラムが震動し、金属製のミルのように散らばっている。それが最大限に発揮されているのが"Feels Like Home"で、Francois Xスタイルのベースと凍てつくようなパッドが奢られている。Coniは無慈悲と無垢の絶妙なバランスを辿り、"Feels Like Home"ではグルーヴを厳しく作り込むいっぽうで、"My Secret Diving"や"Flip"では愛すべき無垢さを表現する。"My Secret Diving"はループを主体としたツール的トラックで、硬質なパッドをキックが打ち抜き続けているかのような趣だが、"Flip"はまるでJonas Koppを去勢手術したかのようなサウンドで、畳み掛けるシンバルの前でシンセが彷徨っている。Coniの新たなサウンドはたしかに機能的ではあるが個性が見えにくくなっており、これまでのClekClekBoomのリリースをエキサイティングにしていた強烈な個性と言う点は失われている。
  • Tracklist
      A My Secret Diving B1 Flip B2 Feel Like Home
RA