Terekke - Yyyyyyyyyy

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  • L.I.E.S.が抱えているアーティストの中でも、Terekkeは最も謎めいた存在だ。このブルックリンにベースを構えるプロデューサーは、いまだ1枚のEP「Damn」とコンピレーション『American Noise』に1つのトラックを残したにすぎない。ファンクを秘めた実に厚みのあるそのサウンドは、ストリートの匂いもそのままにスピーカーから伝わってくるかのようだ。テープに直接録音したかのようなチープさを持ったハウスでありながら、この「Yyyyyyyyyy」はこれまでの彼の作品のなかでも傑出したものだ。 "Bank"はFloating Pointsを太陽で日干しして変形させたダブ仕立てのようなサウンドだ。8分間にわたって続くこのトラックでは、ごつごつしたドラムは波状のシンセと豪奢なベースラインによって穏やかに押しやられていく。"Piano"は集中して聴いた方が魅力が伝わりやすいトラックで、静かに唸るようなテープ・ループの背後でこもったドラムと遠くで鳴らされるコードが漏れ出てくるかのようだ。"Amaze"は一聴するとActress "Ivy May Gilpin"を穏やかに仕立て直したかのようだ。またしても、テープ・ヒスに覆われており、疑似トライバルなリズムがゆったりと敷かれている。空間のずっと奥底に埋め込まれたハットを聴き分けようとするなら、だらしなくフィルターが掛けられて遠くで鳴るヴォーカルが抜き差しされる中、いくつものレイヤーを掻き分けなければならない。その効果はEP全体同様、静謐な精巧さをたたえている。
  • Tracklist
      A Bank 3 B1 Piano B2 Amaze
RA