Todd Terje - Strandbar

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  • 2011年にRunning Backから「Ragysh」をリリースして以来、Todd Terjeはある種絶好調の状態にあるといっていい。「Ragysh」にはBサイドの"Bonysh"も含め、正真正銘のバット・シェイカーが収められており、"Snooze 4 Love"はその後のポスト・レイヴ的流行に先駆けた蟲惑的でセンシティブなグルーヴを持ち合わせていた。このEPは彼にとってキャリア最高傑作と思われたのも束の間、次の1月には「It's The Arps」がリリースされシンセの達人としての呼び声を確立するとともに"Inspector Norse"では近年他のプロデューサーたちがなかなか辿り着けなかった場所へ到達してみせた。マキシマリスト的で断固としてアップビートな"Inspector Norse"は限りなく大胆な挑戦でもあったが、そのアピールは否定できないほど強力なものだった。 ここに届けられたフォローアップ「Strandbar」では、時計の針を少しだけ前に戻し、僅かに対比が強調されている。ここに収められた3つのヴァージョンは、いずれも"Inspector Norse"での感性の鮮やかさを上回ってはいないが、似たような場所へ連れて行ってくれるのは確かだ。"Strandbar (Samba)"は穏やかに上昇し、メインとなるフックがトラックの中でぐるぐると流れている。トラックに活性が満ちてくると、Terjeらしさがにじみ出てくる。似たようなコードを使うプロデューサーは近年他にもいるが、Terjeはここぞという瞬間に魅惑的な変調を施す。セカンド・ヴァージョンとなる"Strandbar (Disko)"は実にあっさりとその世界観に引き込む。ベルトを掴まれて、その音の厚みの中へ引きずり込まれるかのようだ。非常に説得力のあるトラックであり、Terjeはスマートに終盤のクールダウンへと誘う。"Strandbar (Bonus)"ではメイン・ミックスでの明確なメロディを抜き去り、なんとなく菜食主義者的なヴァージョンといった趣だ。このミックスに関しては好みが分かれるところだが、明らかなサマー・アンセムが2つ収録されたこのEPはまったくもって否定できない。
  • Tracklist
      A Strandbar (Samba) B1 Strandbar (Disko) B2 Strandbar (Bonus)
RA