Michael Gracioppo - Santo & Christine EP

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  • Michael Gracioppoなるプロデューサーによるデビュー盤は、普段Motor City Drum Ensembleが手掛けた作品を中心にリリースしているMCDE Recordingsより届けられた。このモントリオール出身のMichael GracioppoにMCDEことDanilo Plessowがどんな才能を見出したのかを理解するのは容易い。両者の共通点は、共にグルーヴ本位のトラックの中でエモーションを表現しているという点だろう。 また、Gracioppoの手掛ける音楽はモントリオールの土地性ともいえるマイクロハウスやミニマルテクノへの偏愛が感じられる。隙間が多めでハンドクラップなどの音色が高域を占めるドラムサウンドを好み、初期Perlonのようなアレンジを援用しつつも、あくまでもレトロになりすぎないやり方でその繊細なサウンドを落とし込んでいる。"My So-Called Friends"ではそのアプローチが功を奏しており、サンプリングされたリフがミニマルにピッチを変化させながらレイヤーを生み出している。いわゆるクラブトラックではないが、しっかりとしたキックをその下にミックスすれば強烈な効果を生み出すであろう。 そうした意味では、NYCの気鋭ディープハウサーFred Pが手掛けた"Reshape"のリミックスはまさに強烈なクラブ・トラックに仕立て直されており、疾走するキックを打ち込んだ上で呻き声のようなヴォイスを指でなすり付けるように塗り込んでいる。Fred Pが最近リリースした『Codes And Metaphors』での、雨がそぼ降るようなムードにも近い。"Untitled"では不安定なヴォイスサンプルを揺れるピアノ・サンプルに置き換えているが、そのディテールの細やかさは注目すべきものだ。ドラムは引っ掻かれて揺らされ、そのたびにビーツは効果的に配置されたドラムサウンドを際立たせる。この独特なタッチは、Gracioppoが注目を集めるに値する個性だ。
  • Tracklist
      A1 My So-Called Friends A2 Untitled B My So-Called Friends (Fred P Reshape)
RA