Eduardo De La Calle - Precursors EP

  • Share
  • Eduardo De La CalleとCadenzaという組み合わせはいささか意外だ。スペイン人プロデューサーDe La Calleは10年近いキャリアを持ち、過去2年間のあいだにはAnalogue Solutionsでブレイクを果たし、耳の肥えたリスナーたちのお気に入りとなっている。LucianoのCadenzaに関して言えば、このレーベルは2008年前後を境にエッジを失っていたと言わざるを得ない。NSI「Max Binski」をはじめとした優れた作品を連発していた頃を思うと、イビザ島PachaでのVagabundosレジデンシーを展開する現在のCadenzaはまったく別のレーベルに変貌してしまったかのようにさえ思える。そうした意味では、この「Precursors EP」は両者にとって興味深い進展となるだろう。De La Calleにとっては初めてのビッグ・レーベルからのリリースである一方、Cadenzaにとっても久しく失われていた明確なキュレーション感覚が戻ってきたことを示している。 この「Precursors」に収められた音楽は、De La CalleとCadenza双方の品質の高さを明確に証明するものとなっている。Villalobos期のCadenzaの枠組みにおいて、De La Calleのスタイルは見事にフィットしていることをリスナーは実感するだろう。全3トラックともに長尺で、ミュートされたキックドラムとサイケデリックなセミ・フックがヒプノティックなグルーヴを醸し出している。Analogue Solutionsでの多くのトラック群と同様、リニアで硬直したドラムループがテクスチャーとサウンドデザインにおける自由な実験の場を提供している。たしかに、これらのトラックはDJツールに過ぎないかもしれないが、それは冒険心に満ちたアフターアワーズDJの手によってこそ最大の効果を発揮する。各トラックともに非常に素晴らしい仕上がりではあるが、過去2年の間にDe La Calleが展開してきた優れたプロダクション群に比べるとやや当たり障りのないものかもしれない。これがCadenzaにとって新たな指針を示すものとなるかどうかは、まだまだ見えてこないのも事実だ。
  • Tracklist
      A Pink Water B1 Madhusudhana B2 The Sneak
RA