Outlook Festival 2013 Japan Launch Party

  • Share
  • パーティにおいて重要なことはコンセプトではないだろうか。その場に集う人々を共感し魅了させ巻き込んでしまうようなコンセプト。出演者のプレイを列挙するだけのパーティレポートに対する批判を最近Twitter上で見かけ、私も以前から疑問に思っていたので個々のプレイは少々割愛させてもらう。オーガナイザーやアーティスト、思いを共有し集う人々の伝えたいことを現場で体験した上で文章にして伝えることがライターの役割なのかもしれない。さて前振りはこの程度、ではこのローンチ・パーティの元となった『OUTLOOK FESTIVAL』とは何なのか。毎年夏、東欧クロアチアのリゾート地で4日間開催される、サウンドシステム・カルチャーから派生したベース・ミュージックを中心にした巨大フェスティバルのこと。レゲエ、ドラム&ベース、ダブステップ、UKベースなどなど、低音に重きを置いた複数の音楽ジャンルを一度に体験でき、パーティの形式もボート・パーティやビーチ・パーティなど多岐に及ぶ、フェスティバルとバカンスが融合した空間と言えるだろう。実際にクロアチアまで足を運んで体験し現地のヴァイブスの高さに感銘を受けた、フューチャー・ラガを指標とするレゲエ・クルーPART2STYLE SOUND、サウンドシステム・オーナーであるeast AUDIO、関西を代表するDJの1945 a.k.a KURANAKAなどによって運営されるのが、この日本版ローンチパーティ『OUTLOOK FESTIVAL Japan launch Party』となる。日本では今回で3年目を迎えることとなり、もちろん国内だけでなく世界各国でローンチ・パーティは行なわれ、現在のクラブ・カルチャーにおいて目の離せない現象となっているのは間違いないだろう。 Photo Credit: Yukino Miyanishi 当日、今回の会場であるageHaへ向かう途中、新木場駅の建物を出た時点で、なんとすでに音が響いている。会場に近付くにつれて音量とテンションが俄然上がる。ちなみに前回開催した会場では、スピーカーから発された強烈な振動によって建物にヒビが入って使用できなくなったという話も出るほど、ハイクオリティで圧倒的な音響体験に心血を注いでいるパーティなのだ。前回に引き続き、今回も入場前から気合が十分に届いている。他にも音響に対する情熱が伺えるのが、サウンドシステムが出演DJのラインナップと同等に扱われていること。日頃から出音の鍛錬をしている合計6台のサウンドシステムの猛者が集結、4フロアあるうちのメインフロアでは3台のサウンドシステムが設置されていた。かなりの広さにも関わらず、ageHaのメインフロアが重低音が充満して包み込まれていたと言えばいいのだろうか。轟音によって内臓が圧迫され、曲のブレイクで圧迫感から開放される気持ち良さは、なかなか味わえない音楽体験である。注目すべきはヨーロッパ圏でトレンドとなっているスピーカーFunktion-Oneのように話題になりつつあるVOIDのスピーカーを組み合わせたサウンドシステムである。まるで音が視覚化されているようにさえ感じてしまうVOIDのスピーカーは非常に解像度が高く、その圧力の強い低音に酔いしれてスピーカーの前から張り付いている客が何名もいた。私自身も出演した各サウンドシステムの鳴りに魅了され、様々なサウンドシステムに触れる度、国内のクラブでどこが一番音が良いのだろうかと考えさせられてしまった。トラック(曲)だけでなく、サウンドシステム(再生装置)も進化していると確信を持たせる瞬間に出会えた。 Photo Credit: Naoki Seo フロアごとにジャンルを決めてタイムテーブルを組むパーティは多々見受けられるが、今回は同じ時間でも他のジャンルが楽しめるにタイムテーブルが組まれている。様々なジャンルに触れられるよう、オーガナイズ・チームによって練りに練られたタイムテーブルなのだろう。またオールナイトイベントではなくデイイベントのため、パーティのピークは終盤に連れて徐々に高揚していく。クライマックスといえば、DJ Kentaroによるターンテーブリズムを駆使したベース・ミュージックのヒットチューンが矢継ぎ早に繋がれるプレイから、Nisi-P(PART2STYLE SOUND)によるマイク・パフォーマンスが高揚感を煽り、トリを務めるダブステップのパイオニア&トップDJであるSkream & Bengaに繋がれていった瞬間は、この日でしか見られない光景だ。希少な組み合わせがフェスティバルならではの一体感を与えてくれる。ヘッドライナーであるSkream & Bengaによるレイヴィでド派手なダブステップは大人数の集まった大箱で映える世界基準の音。ラストまで耳が離せなかった。ひとつ残念なことを言えば、サウンドシステムの出音の迫力によって、客の歓声がかき消されていたこと。音圧のみでなく、歓声による一体感も欲しいと思ってしまう私がわがままなのかもしれない。当日体験できなかった方は来年行なわれる現場の激震を期待しよう。ちなみに余談であるが、翌日に行なわれたアフターパーティでは、渋谷を一人でぶらぶら歩いていたBengaが音に引き寄せられて、会場の虎子食堂にたまたま来たそうだ。ガイダンス! Photo Credit: Yukino Miyanishi
RA