SónarSound Tokyo 2013 Day 2

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  • 4月7日、15時。昨日の嵐が嘘のように快晴。オールナイトであった1日目はダンスミュージック・アーティストのライブやDJがメインだったが、デイイベントの2日目はバンドのライブやトークショウなども加わり、ちょっと違った雰囲気が楽しめるようになっていた。会場に入ると、メインステージのSonarClubではShiro Takatani:Chromaのパフォーマンスが繰り広げられていた。息を呑む美しさに目と耳を奪われつつも、SonarLabを覗いてみると、爽やかな青空の下でTofubeatsがプールサイドを盛り上げていた。SonarComplexでは『The Outer Edge』の上映が行われており、Red Bull Music AcademyのSonarDomeではsauce81が渋くグルーヴィーなサウンドを響かせていた。 では、まずはSonarDomeから流れをレポート。その後Yosi Horikawaが登場し、カリンバなどを演奏しながら、深くて美しい音風景を表現。続いた男女の2人組 Nguzunguzuは、阿吽の呼吸でハウスからベース、トラップまでを絶妙にミックスし、フロアを沸かせた。そして、18時ごろにSpace Dimension Controllerのライブがスタート。アトモスフィアリックなサウンドに自身のナレーションを生で被せ、スペーシーな前半からファンキーな後半へとストーリーが展開する、コズミックでSDCワールド全開なセットであった。その後、OM Unitがダブ、ジャングルといったベースヘヴィなセットを繰り出し、Illum Sphereがジャングルからヒップホップ、エレクトロやブギーへと縦横無尽にジャンルやBPMを跨ぎ、多彩なプレイを魅せた。 一方、屋外のSonarLabでは、Tofubeatsに続いてSoichiro Tanakaがプールサイドを更にヒートアップ。17時半ごろ、Green Butterのミニマルでドープなビーツが響き出すと空気が一転。音の隙間が心地良い彼等のライブが終わると、Pinchの出番だ。Sherwood & Pinchのプレイとはまた違った、本人のカラーを存分に出した選曲でフロアは終始大興奮。その後はDJ Nobuがストイックなセットで最後まで熱量をキープし、ラストを飾った。ところで、SonarLabでは真っ白な服に身を包みプールサイドで華麗な踊りを披露する“白の貴公子”がフロアの注目を集めており、ネットでは彼がベストアクトとの呼び声も。どうやらSonarの名物客のようだ。 SonarComplexでは、『The Outer Edge』の上映後、Fragment x 蛍光灯バンドのライブが行われた。蛍光灯を大胆に使用したパフォーマンスに観客の空いた口は塞がらず。楽器では無いもので音楽を作ってしまうという発想と、それを可能にするテクノロジーの進歩に感動した。更に、今回アートインスタレーションを行ったアーティストのトークセッションが行われ、『Bibliomania』の上映も行われた後、Shiro Takataniのトークセッションが決行。先鋭クリエイターの興味深い話を生で聴くことができた。19時を過ぎたころ、DJブース前にテントが張られ、198000000YEN (イチキュッパ)のライブがスタート。こちらも現在の音楽の常識を逸脱した未来的なライブであり、彼等のクリエイティビティに感銘を受けた。 さて、メインステージのSonarClubだが、Shiro Takataniの後はToe。いきなり名曲「グッドバイ」を披露し、一気にオーディエンスを彼等の世界に引き込んだ。後に続いた女性の3ピースバンドにせんねんもんだいは、最低限な音数で、切れ味のある重厚なミニマルテクノサウンドを轟かせた。18時を過ぎたころ、Darkstarのライブが始まった。どこまでも漆黒で、果てしなく美しい音色と狂気のリズムの融合であった。今回はバンドセットで挑んだNicolas Jaarのライブは、アンビエントでビートレスに始まり、散々焦らしに焦らした後、たまらなくダンサブルなセットへと展開。前衛的で神秘的な残響に心を奪われる、鳥肌ものの1時間であった。そして大トリは、本邦初公開のバンド形式のソロライブが話題であったKarl Hyde。ソロ曲だけでなくアンダーワールドの曲のバンドアレンジも挟みながら、静謐でメランコリック、オーガニックでドラマチックな音色に、しなやかに伸びる叙情的なKarlの歌声が交わり、アンダーワールドとは違った魅力をみせた。いつまでも若々しいカールは少々ダンスも披露し、楽しそうに演奏をしていた。こうして刺激的で夢心地だった2日間は穏やかに、美しく幕を閉じ、心地よい疲労と言葉にできない余韻に浸りながら、帰路についた。
RA